第209回:万年筆へ、さようなら
もうずいぶんと時間が経ってしまったが、今月9日に東京武道館で行われた東京選手権、全日本選手権東京予選について書いておく。
結果は代表決定戦で、技あり獲られ、技あり獲り返し、判定負け。去年と同じ。自分で言うのもなんだけど、全日本選手権まで本当にあと一歩だったと思う。だけどその一歩がなかなか遠く、ついに大学在学中の全日本選手権出場は叶わなかった。
しかしそう落ち込むことばかりではない。去年11月に大学柔道部を引退してから数か月、若干中途半端ではあるものの新しい環境で練習してきた。そこで得た刺激や成長を僅かながらも感じられた気がするのだ。忘れていたことにさえ気付いていなかった 「 柔道を楽しむ 」 気持ちを思い出し、それが新たなエネルギーになりつつあることを感じている。
来月から完全に環境が変わる。もちろん変化にリスクはあるけれど、大学で進めなかったあと一歩のために柔道を見直す良いチャンスだと思う。頑張っていきたい。
そしてもう一つ、この東京選手権は慶應義塾大学として出場する最後の大会だった。もうペンマークを胸に試合をすることはない。この道着を脱ぐにあたって今感じるのはただ、反省と言うか後悔と言うか、そういうモヤモヤした気持ちと、慶應での僕に期待してくれた人たちに対する申し訳ない気持ちだ。
その理由はたくさんある。心のどこかでここの環境に甘え、他大学に進んだ仲間やライバルたちのようには踏ん張れなかったこと。結果、塾生として出場して、満足のいく結果を残せた大会は一つもなかったこと。また主将になって、人間や組織の真理を学ばせてもらったと同時に、少なからず大切なものを失ったこと。そして結局、部の意識改革にも失敗したこと。
いずれにせよここ慶應柔道部での戦いは終わってしまった。今は、この苦い経験も自身の弱点を知ったことその他の意味でプラスであったと信じて進むしかない。
慶應柔道部関係者の皆様、4年間ありがとうございました。慶應柔道部員としてのご期待に応えることができず申し訳なく残念な気持ちでいっぱいです。にもかかわらず変わらず応援して下さったことに心から感謝します。今後も、支えて下さるすべての方々への感謝の気持ちを忘れず、次のステージに進んでいきます。
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳