第239回:長崎がんばらんば国体

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今月18日から22日まで、長崎がんばらんば国体で長崎県諫早市に行ってきた。計量が19日で、試合自体は20・21日。1大会にしては少し長い滞在となった。国体の成年柔道競技は体重制限有り(先鋒-60、次鋒-73、中堅-90、副将&大将が無差別)の5人制団体戦。僕はもちろん無差別級で、今回は副将枠で使ってもらった。
結果は、準々決勝で地元長崎県チームに2-2の内容負け。よく言えば5位入賞、普通に言えばベスト8敗退。いちおう来年のシード権は獲得したものの、決して良いとは言えない結果だ。
個人的には2勝1分。1・2回戦は特に問題なく一本勝ちしたものの、長崎戦で、引き分け狙いの相手を獲り切ることが出来なかった。結果論ではあるけれど、僕が僅差でも獲っておけばチームは勝ったわけだから、反省のような後悔のようなザラザラしたものが心に残る大会にしてしまった。

国体みたいな大規模なイベントを地方で開催すると、どうしても宿不足の問題が浮上してくる。今回の諫早市も例外ではなく、各県とも宿探しには苦労したようだ。試合会場からタクシーで30分以上かかる場所に泊まったチームや、歩きじゃどこへも行けないような山の中のホテルに閉じ込められた団体が多々あった。
我々神奈川県柔道チームも、駅に近く、会場からもほど近いものの、なかなか趣のある旅館に滞在した。
正確に言うならば、それは、旅館“だった”建物なのだ。経営していた夫婦が高齢のため数年前に店仕舞いしていたところを、宿の見つけられなかった神奈川県が無理を言って今回特別に空けてもらったという流れ。
少し大きな民家を宿泊施設に改築したような造り。薄暗い廊下や傾いた階段が迷路みたいに走っていて、壁には日本人形や鷲の剥製が飾ってある。いたるところに鏡が置いてあって、不気味な空気を醸し出す。相部屋だった同期の橋本は見かけによらず怖がりで、夜一人でトイレに行くのをためらったり、19日夜に放送された「世にも奇妙な物語」を観るのを頑なに嫌がったりした。部屋の入り口は低く、身長180cmを超える人間など受け付けない。トイレはドアを閉めると狭くて身動きがとれないから、ズボンを下ろしてから個室に入らなくてはならなかった。
こんな感じで僕らみたいな巨人が動き回るのには適していないけれど、よろよろしながらもその屋のジイちゃんバアちゃんはとても親切で、まるで実家に帰ってきたような快適な時間を過ごさせてもらった。

長崎チームには悔しい思いをさせられたものの、県民にはたいへん御世話になったということで、とりあえず長崎県との貸し借りは無しなのだ。よほどの用事が出来ない限り、再び諫早に乗り込むことはないだろうけど、またその時はよろしく頼みたい。

更新:2014-10-27
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳