第240回:5度目の講道館杯

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 「生まれてこなければよかった … 卓球もやめる。スコンクで負けた。日本の恥だ。今頃、世界中の笑いものだ。死む。」
僕の最も好きな漫画・ピンポンで、ペコがチャイナに負けて落ち込んでいるシーンが重なった。

 今回の講道館杯、流石に “ 生まれてこなきゃよかった ” とまでは思わないけれど、なかなか酷い負け方をした。しばらくは落ち込むタイプのやつだ。高2のインターハイとか大1の世界ジュニアとか、今までの柔道人生の中にもこんな感じの挫折はいくつかあった。だけど、ワガママを通して環境に支えられて、何とか柔道を続けさせてもらっている立場となった現在、結果が出せないというのはかなり痛い。時間をおいて落ち着いてからゆっくり考えて、今後のことを決めたいと思う。

 という文章を試合の次の日、月曜日にボーッとした頭で書いた。それから3日が経った今日木曜日、後悔やら自己嫌悪やらはまだ瘡蓋にさえなっていないものの、ほんの少し開き直れた部分もある。一歩引いて考えれば、今回の負けで落ちるところまで落ちたのだ。これまで縋るように大切にしてきたいくつかの小さな肩書やプライドさえも無くしてしまった今、プレッシャーや恐怖から解放された気がしなくもない。要するに、ここで失うものはもう何もない。今までリスクを怖がって踏み出すことができなかった自分の柔道を、根本的に改革するような挑戦をしてみる機会なのかもしれない。
 少なくともあと一回はトップに向かうチャンスがある。新しいことを試すのはなかなか難しいとは思うけど、長い目で見た時の後悔を残さないためにやれることはやっていきたい。

更新:2014-11-17
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳