第245回:転機

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 根性論は科学を嫌う。

 正確には“根性至上主義の指導者は科学的強化方法に無関心である”かな。具体的な根拠を挙げるのは難しいけれど、たぶんこれのせいで日本のスポーツトレーニングは欧米に比べてかなり遅れた。困ったことに、その中でも特に武道界は科学を尊重しない。

 柔道界にドップリと浸かってきた僕も、言われたトレーニングを15年間ただただ従順にこなしてきたタイプだ。第三者から見ればアホみたいだろうが、それ以外の方法を僕は見つけることができずにいた。そりゃ確かに少しネットで調べれば、最新鋭のトレーニング方法みたいなのは山ほど出てくる。でもそれが果たして自分に合っているのか、今のトレーニングよりも効果があるのか、明確に示してくれるものはなかなか見つからない。前回の記事の体脂肪率測定にしてもそうだけど、世の中に、我々のような人間のことを正確に見てくれるものってかなり少ないのだ。一つ一つ試してみたところで、ただでさえ日々鍛えている僕らがその効果を実感するのにはある程度の期間が必要で、途方もない作業になる。それにもちろん、効果が薄く弱体化するリスクもある。そんなこんなでなかなか一歩を踏み出せずにいたのだ。

 そんな僕も、最近ようやく転機を迎え、科学的なことを取り入れつつある。それは、この春から所属している健康・スポーツ分野の大学院での出会いのおかげだ。トレーナーさんやお医者さんや看護師さんや保健師さんや栄養士さんや、今まであまりじっくり相談することの出来なかった分野の人たちと「同級生≒友達」という立場で何から何まで喋れるようになったのだ。自分のことを正確に知ってもらった上で、新しい食事やトレーニング方法を細かく提示してもらえる。実際に週に1回ほどSFCのウエイト場でトレーニングを見てもらい、肉体改造のための食事法を相談する。この上ない環境だ。とりあえずこれからの1年間を目途にサポートをお願いする。今までにない改善の兆しが見えてきた。

更新:2014-12-21
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳