第252回:とーけー2
前回は今期取った統計の授業でやった研究について書かせてもらった。今回は、その授業の発表会の一日について書く。
これの発表会は日吉キャンパスで9時から17時まで、ほぼ丸一日をかけたなかなか大掛かりなもの。グループで行った研究については各班15分のプレゼンテーションを、個人の研究はそれぞれA4一枚のポスターを使って1分間の発表をする。
班員全員が発表出来るように準備させることを目的として、グループのプレゼンターは当日クジ引きで決まる。そして僕は残念ながら(?)当たりを引くことが出来なかった。しっかりと原稿を準備していた信頼できる人が、完璧な発表をしてくれた。この時ばかりは神様も空気を読んだようだ。
個人の発表はとにかく時間との勝負。前回のを読んでもらえれば分かると思うけど、研究全体を1分で話し切ることなど到底出来ないから、特に話したい部分だけを簡単に紹介する程度になる。プレゼンってのは、時間が短いと逆に難しかったりするのだ。
発表会後18時から日吉の居酒屋で教授を囲んで簡単な打ち上げをした。今回は全部で20人くらいの参加者。学年で50人弱の学生がいることを考えれば幾分こじんまりしたものになった。次の週に他科目のテストが立て込んでいて、みんなその勉強に追われていたのだろう。そういう僕だってテストは抱えていたけれど、とりあえず人との付き合いを優先するタイプだ。言い換えると、体育会系なのだ。
しばしご歓談した後、教授が一人一人簡単な自己紹介をしようと言いだした。みんな、名前、出身、今期は~~の研究をして・・・みたいなことを話して、それに対して教授が「君の着眼点は面白かった」とか「非常に現実的な提案だった」とかコメントしていくような流れ。昼間の発表会では50人近い人間が1分交代でバーッと発表したから、誰がどの研究をしていたか教授もお互いも曖昧なのだ。僕の番・・・簡単に自己紹介してから、今期は牛乳パックのパッケージの提案をしたと言った。教授は発表内容を思い出すようにしばらく黙ってから、
「君は・・・良い声してるね!」
と一言だけコメントをした。考えようによっては、人間の根本的な部分を褒めて頂いた。真面目に授業受けて研究しているだけじゃ良い声は手に入らない。
ちゃんと単位をもらえるか不安な夜になった。
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳