第253回:ぜんぶ雪のせいだ
2月の初め、3泊4日で、北海道・札幌に行ってきた。大学院の勉強合宿。とは言っても半分くらい遊びの旅行だ。なかなか終わりの見えなかった課題&テスト地獄を溺れかけながらもなんとか泳ぎきったご褒美といったところ。柔道着を持たずに飛行機に乗るのがえらく久しぶりに思えた。今回は、この旅行の中でやったスキーのお話。
先に言っておくが、僕はスキーをやったことがない。と言うと少し嘘になる。正確には、小学校低学年の頃に少しやったらしいけど、物心付いたのが最近だから記憶にない。
今回一緒に行った6人は、2人かなり滑れて、2人普通に滑れて、2人滑れないという構成。流れとしては、始めに上手な2人から基本的なノウハウを教えてもらって、しばらくは黙々と一人練習に明け暮れ、最終的には過酷なコースを転がり落ちたって感じ。
最初はやっぱりボーゲンを習得しなきゃいけないんだけど、これがなかなか出来ない。特に僕の場合、捻挫を繰り返した足首が固いのと、靭帯の足りてない膝が危ないのとで、なかなかハの字が作れない。エッジを使えないので、もう滑り出したら最後、行くところまで行くしかないという状態だ。ただ、そんな僕にも強みがある。何を隠そう“受け身”に関してはプロフェッショナル。かなりのスピードで転ぼうが、フッ飛ぼうが別に怖くないのだ。これのお蔭で、どんどん新しいことに挑戦していくことが出来る。
しかしそんな風に、わが身の危険に恐怖は感じないものの、そこらじゅうにウジャウジャいる小学生にぶつかることは怖い。100㎏を超えた物体がある程度のスピードで衝突するエネルギーなんて、想像するのも怖い。次の日の朝刊に「スキー場で小学生の列に柔道家突っ込む!3人重体」みたいな記事が載ってしまっては大変だ。だから自分の行く先にガキたちが侵入してきたら、急いで転ばなきゃいけない。彼らにしてみれば、目の前でデッカイ男が何度も何度も豪快にコケるもんだから、その度に爆笑が起きる。流石に雪国のガキたち、生意気にもみんな結構滑上手いのだ。いつか奴らが畳に上がった時は、立っていられない感覚を味わせてやろうと、固く雪に誓った。
(次回に続く・・・)
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳