第254回:ぜんぶ雪のせいだ2

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(・・・前回の続き)

 いちおう僕も普通の人よりは運動神経が多少優れているアスリート、七転八倒を繰り返して小1時間ほど、何となく減速はできるようになってきた。そうやってやっとコツのようなものが分かってきた頃、上手な2人の小競り合い(どっちが上手いか)に巻き込まれ、中・上級者コースに連れていかれた。急角度のコースになるとボーゲンは使えず、パラレルターンで減速しながら下りていかなきゃいけない。たぶんだけど、ボーゲンでターンがスムーズに出来るようになって、パラレルで初級者コースを滑れるようになって、やっと挑戦が許されるレベルのコースだった思う。生意気な小学生たちも滑っていない新雪フカフカなところ・・・そこにスキーを始めて1時間で挑んだわけだ。

 当然、過酷な戦いを強いられる。斜面に対して横向きに滑って行くんだけど、ターンが出来ないから、コース端の森の手前でバタッと倒れるしかない。そのまま寝転がりながら向きを変えて滑り出し、逆サイドの森の手前でまた倒れる。ひたすらスーッバタッ、スーッバタッの繰り返し。こうなると段々、向きを変えやすい転び方や、素早く起き上がれる転び方が分かってくる。ターンの仕方はなかなか分からない。何だか違う種目みたいだなと思った。

 結局この難しいコースは最後まで上手く滑れなかったけど、帰宿する寸前にもう一度初級者コースを滑ってみたらパラレルターンだけで滑れるようになっていた。コケてただけだから、何で出来るようになったのかは分からないけれど、とにかく僕は北海道で“受け身”だけじゃなくてスキーも少し上達したようだ。やり込んだ柔道では今さらなかなか味わえない“出来るようになる”感覚が、久しぶりに心地よかった。

更新:2015-02-18
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳