第272回:結婚式
僕の家系は基本的に結婚式を挙げない。もともと従妹やはとこや兄弟が少ないせいかもしれないけれど、数年前に結婚した3つ上の姉もいとこたちも、みんな式を挙げていない。そんな僕が先日、24歳にして初めて結婚式なるものに出席した。先輩の結婚式だ。24歳で初、が普通なのか遅いのか分からないけど、とにかく僕にとって正真正銘初めての経験だ。
先に書いておくけど僕は、結婚式に対してあんまりポジティブなイメージを持っていなかった。そもそも親も挙げていないのだから、知らず知らずそう刷り込まれていたのかも知れない。大げさに言えば、偉いことをしたわけでもないのに自分で勝手に大変な思いをして準備して、「さあ俺たちを祝え!」とばかりに大勢の人を呼び集める手前味噌なイベント、というイメージだ。
そんな僕だが、今回の式~披露宴を見て「結婚式って思ってたほど悪くねぇな」と少なからず心境の変化があった。周到に用意された的涙涙な場面は想像していたよりずっと少なく、さらさらと心地よい自然体な感動があって、確かに多少の幸せを分けてもらったような気がしたからだと思う。新婦から両親への手紙なんか、なかなか良いことを、泣かずに堂々と読み切っていて、新婦の代わりに新婦とはほとんど関係ない僕が泣こうかと思ったくらい、さりげないカッコ良さがあった。
こんな感じで、先に書いたようなネガティブなイメージは、一度も出席したことのない僕の、言わば食わず嫌い的なものだったようだ。とは言え、自分の身に置き換えて想像してみるとやっぱり少々ゾッとしてしまうことに変わりはない。とりあえず「きっと僕はまだガキだからそういうものの大切さが分からないんだ」と解釈することにして、将来の自分にプレッシャーをなすり付けるのである。
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳