第293回:旅(淡路島・香川編1)
今回の記事は少し前の話になる。あのMr.childrenのライブより少し前のことだ。順番が前後して申し訳ない。試合後の解散を使って大学院の友達3人と四国を一周するかたちで旅行に行った話、今回はその淡路島・香川編である。
8月30日に全日本実業団個人戦が終わって、パーク24柔道部は1週間のお休みに入った。柔道競技は基本的に年中試合があって、野球やサッカーのような“シーズン”がない故、こういうまとまった休みがほとんどない。具体的に僕らの柔道部は、今回の個人戦が終わった後と年末年始の年二回。大学はもちろん夏休み中だから、この1週間は僕の人生においてもなかなか珍しい完全なる長期休暇であった。
その休暇前半8月30日~9月3日、尼崎まで試合を観に来てくれた大学院の同級生3人と、僕は旅に出た。だいたい四国を一周するような配置で宿だけ決めておき、あとはほとんど行き当たりばったりという、例によって計画性のない気楽なもの。同行した同級生の一人が香川県出身で(ここでは仮にDと呼ぶ)、四国に来たら行くべきとところ食べるべきものなど基本的な知識は十分。移動は全て同級生の車。言葉の定義は調べていないけど、感覚として旅行ではない。“旅”なのだ。
旅のコンセプトは「美味しいものを食べてたくさん遊ぶ」で、宿泊にお金はかけない。ここでは、その中で実際に行ったところ、食べたもの、したことを思い出せる範囲で(あまりにもたくさんのモノを食べ、遊んだので)記していきたい。
8月30日、閉会式を終え尼崎を出発したのは15時過ぎ。旅に不要なものは全部、近くのコンビニから東京の実家へ郵送した。一瞬だけ、次の日あたりに届いた汗臭い柔道着をしかめっ面で洗濯機へ放り込む母の顔が浮かんだが、僕は身軽になってとても愉快である。
車に乗り込むなり、同級生たちが朝、試合会場に行く前に大阪で買ってきたという差し入れ、牛カツサンドと抹茶クリームパンを頂く。試合の時はいつも空腹を感じない程度のものしか胃袋に入れない故、閉会式が終わる頃にはとても腹が減っている。だからこの差し入れもありがたく一瞬で平らげた。その速さは相変わらずみんなを驚かせた。僕から一口奪うつもりだった友達も、気が付いたときには何も残っておらず完敗といった表情。
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳