第295回:旅(淡路島・香川編3)

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 8月31日、朝は早かった。6時頃起床し、軽く朝風呂してから、朝一番のうどんを頂きに行った。香川ならそこら中にある、おじちゃんが一人でやっている小さな店である。うどんの味の違いを、人に伝わるように書くほどの語彙力がなく申し訳ないが、なるほど確かに美味しくて安い香川うどんである。
 その後、スポーツトレーナーであるDの実家で、挨拶がてら酸素カプセルとパワープレート(振動するマットの上でストレッチやトレーニングをするもの)を体験させてもらった。
 次の目的地に思いついたのは金比羅山である。長い階段があると聞けば、どんなものかと登りたくなるのが柔道家の性である。お参りに行く、とか観光に行くとかではなく、階段を登りに行くのだ。そんな罰当たりなことを考えていたせいか、麓に着いた頃にはけっこうな雨が降っていた。そういえば台風が近づいていて、四国を直撃する云々と聞いた気もするが、雨の少ないことで有名な香川でこれほど降られるのも珍しいことである。売店のおばちゃんが傘を貸してくれたものの、霧が掛かるほどの湿気と汗で300段超えた頃にはもう身体中ビシャビシャである。そうなってくると、もう傘をさすのも面倒で、いつものトレーニング同様なりふり構わず頂上を目指すのみ。息も絶え絶え一段一段噛みしめながら登るおじいさんおばあさんを横目に、30分ほどで1368段を制覇した。いつもの柔道部員たちと来ている感覚の僕がペースメイクしたせいで、院の友人たちには相当キツかったはずである。3人のうち1人は中間地点で脱落し、登り切った2人も膝がガクガクしていた。この場を借りてお詫びしておく。
 軽い運動を済ませた我々は、ケーキ屋さんで和三盆を使ったカステラをつまみ、香川県で一番上手いといういりこダシのラーメンを頂き、いちおう観ておこうというノリで銭型砂絵に寄った後、徳島県を目指し南下した。

更新:2015-12-31
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳