第64回:色々な戦い

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 4月15日から一週間、我が慶應大学では、新入生との壮絶な戦いが繰り広げられている。俗に言う新入生勧誘、新歓期間だ。今年は地震の影響で入学式はまだ行われず、それより前にこのイベントが置かれた。だからこの時期、ガイダンスや履修相談に来る新入生を狙い撃ちする。何時に何とか学部が何とか教室でガイダンスしてるから終わった所に詰めかけようとか、綿密な計画を練って部員でシフト組んで動き回る。主に地方から出てきたような、まだ友達がいなくて不安でいっぱいそうな子にターゲットを絞っていく。一人一人近づいていって、世間話から入って、柔道部について説明して、パンフレットをあげて、あわよくば連絡先を教えてもらう。俺の威圧感に押されて折れる子もいるかもしれない ( いないことを願う )。ニコニコと話を聞いてくれる子もいれば、ダルそーに聞く子もいる。「 興味ありません 」 とピシャっとしてくる奴もいる。時々ブン投げたくもなる。たまにナンパしたくなる。たいていは心折られそうになる。なかなか大変な作業なのだ。

「 いや俺はデカいけど、小さくても初心者でも全く心配ないよ 」 とか
「 練習なんて調節できるから、全然キツくないよ 」
とか新入生に言いながら思い出すのは、
「 相当の勇気と半端ない覚悟のある人以外は来ないで下さい!!」
そう言った相模高校での柔道部紹介。
色々な世界を見ながら、グニャリグニャリと曲がりくねった人生だ。
何はともあれ、今は慶應大学柔道部員。
明日も勧誘ときどき柔道。配ったチラシが、チラ見してすぐ捨てられようとも、戦い続ける我々なのだ。

余談。初日、なんでか分からんが俺は柔道着で行動しなくてはならない係だった。当日の朝、道場でいきなり言われたから慶應の試合着 ( ペンマーク付き ) なんてない。仕方ないからその日練習で着る予定だったブルーのJAPAN試合着で歩きまわるはめに。次の日から慶應生の中で俺は、「 日の丸付けたデカくて真っ青なドラえもんみたいな奴 」 になったとさ。

慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳