第65回:全日本選手権

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 4月29日、日本武道館に全日本選手権を見に行った。日本で柔道をしてる人間なら、誰でも一度はこの大会に憧れる。日本で一番、ひょっとしたら世界で一番レベルの高い大会だ。「 見に行った 」 じゃなくて、「 試合しに行った 」 と言いたかったな。けど、前 ( 第59回 )書いたとおり東京都予選で一回戦負けしてるから、今年は ( も ) 上で指をくわえて観戦。

 全日本選手権。小学生で初めて会場に見に来た時は、出場選手はほとんど知らない人ばかりで少し退屈したのを覚えている。自分のものさしでは測れないあまりにも遠い世界でただ 「 凄いなー 」 と見ているだけだった。この時優勝した井上康生選手がまさか自分の先輩になるなんて、当時は夢にも思っていなかった。何度も言うけど変な人生だ。それから10年経って、出場している選手はだいたい知っている人。試合や乱取り稽古をしたことがあったり、相模高校での仲間達も何人も出てきてる。やっとここまで近づいたという嬉しい気持ちもあるけど、やっぱり出られていない自分が悔しい。相模で一緒に頑張ってた人が試合を終えて、観覧席に上がってきて話をしていると、チビッ子どもが 「 サインくれ 」 と群がってくる。ずい分差を付けられた。「 人気者じゃん 」 と笑いながらも、祝福なんてできない。「 また頑張って 」 と言いながら、自分だって、と思う。自分だって、来年こそは。

 結局今大会は鈴木桂治さんが見事な復活優勝。「 優勝候補にも挙がっていなかった 」 と自分で言っていた。そんななかで、なかなか上手くいかない自分を奮い立たせて最後まで諦めない姿勢を見習いたい。俺なんてまだまだペーペーだけど良い刺激をもらった。また頑張っていきたい。

慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳