第116回:フランス語猛勉強中

未分類

 こんにちは。旅行の話が続いたので、違う話題に変えたいと思います。

 私は現在ケベックにいます。ケベック州で一番大きな街はモントリオールですが、私がいるケベックシティーはよりフランス語を話す人口の割合が多く、ヨーロッパの雰囲気を感じられる街です。路は石畳、要塞があり、こぢんまりとした小さな家や店がいくつも並ぶ可愛らしいところです。なぜここにいるかというと、前も書いたかもしれませんが、フランス語の勉強のためです。

 大学でフランス語を取っていましたが、使っていなかったのでもうすっかり忘れてしまっていました。今頑張って思い出そうとしていますが、読めても話すのに苦労しています。そういえば、英語もスピーキングに一番悩まされていたなぁと改めて言語習得の難しさを実感しています。どの言語もそうですが、ネイティブのように話せるようになるには、9歳から14歳くらい(思春期)までの間にその言語が母語である人達と同じ環境にいることが大切なようです。この年齢期間をCritical Ageといい、言語習得の一つの説として成り立っています。ということで、第二言語を習得し、ネイティブ並みになるには相当の努力が必要とされます。

 ケベックの話に戻ると、言語を学ぶ際に重要名のことが一つあります。それは羞恥心を捨てること。よく間違えることを恐れていては伸びない、と聞きますが、全くその通りで、めちゃくちゃな文法でもいいから伝えようとする。伝えようとすれば耳を傾けてくれる人がいます。知らない単語を教えてくれます。間違いを直してくれます。

 私たち大人の言語習得の利点は、何が正しく何が間違いかを認識できる点です。これをnegative evidenceといいます。子どもにはnegative evidenceがなく、例えば “I goed to school.” と過去形には-edをつけると認識している子どもが間違えたとします。そこで、お母さんが “No, it’s ‘I went to school.’”と直したとしても、子どもは理解できず、同じ間違いを繰り返します。やがて、多くの大人が ”I went to  “ と言っているのを聞き、自然と自分もそのように直していくそうです(そしてその直るスピードは子どもの方が速い。)しかし、私たち大人はgoの過去形はgoed ではなくwentだ、と教えてもらえれば、理解して次から直すことができます。これは大人になってから第2言語を習得する一つの利点です。なのでこの利点を上手く利用して、多くの人に自分の間違いを指摘してもらうことが向上の秘訣とも言えます。間違えたくない、恥ずかしい、という羞恥心を捨てることが鍵です。

 ということで、私は羞恥心をヨーロッパ調の石畳の路上に捨てて、身軽になってフランス語習得に励みたいと思います。口で言うほど簡単じゃありませんが……頑張ります。

更新:2011/05/21
早稲田大学 国際教養学部(SILS) 小林 綾