第130回:外に出れば出るほど

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 さて、ここ数回やたらめったら日本文化がうんぬん、と書き連ねています。読者の方が食傷気味でないことをいのるばかりですが、なぜこんなにも書いているのか。それは留学を経て日本文化を違う視点で見ている、と今感じているからです。

 海外文化と日本文化の比較対称ができるようになったことで、自分の中にある日本人としての考え方、コミュニケーションの仕方が見えてきました。それは、外国の人と話をしている時に、異なるものとしてくっきりと明確に目の前にうつります。わかりやすい例だと、日本の授業では生徒は沈黙、先生の話をよく聞くことが美徳です。一方、海外では静かにしている生徒は理解していない生徒、やる気のない生徒とうつります。「静」が日本の美徳なら海外は「動」。全てとはいいませんが、大概において文化の違いがあります。そして少数派の民族としてそこにいると、自分ではっきりと文化の違いが見えてくるのです。向こうの当たり前が、私の当たり前ではありません。

 これは自分の考え方だけに当てはまることではないです。国としての日本、そして自分の周りの日本人を思い起こせば、同じように日本文化を背景として育ってきた人特有のコミュニケーションや思想があります。

 外に出てみて初めて比較ができるようになる。そして他国を知れば知るほど、日本という国と日本文化を新しい目で見ることができる。多くの「気づき」がそこにはあります。外に出れば出るほど、内がよく見えるようになりました。留学から帰ってきたばかりの今が顕著に外国と日本の差が見えているのだろうと思い、鉄は熱いうちに打てとばかりに、ここ数回書き続けていたわけです。この記事を通じて、読者の方が日本をNIPPONとして見たいと少しでも思っていただければ本望です。

 では、また来週。

更新:2011-08-22
早稲田大学 国際教養学部(SILS) 小林 綾