第131回:想像性とは隠すこと

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 こんにちは。最近ツイッターを使い始めました。今まではfacebookばかり使っていたので、新しいSNSは使い方がわからず苦戦しています。少しずつリツイートなど覚えつつ、どう活用しようか迷っていた時に脳科学者の茂木健一郎さんの連続ツイートを知り、フォローし始めました。茂木さんの連続ツイートは、毎朝即興で文章を考えながら組み立てているそうです。内容は日によって変わりますが、いつも面白いです。今までそんな風に思いを巡らせたことなかったな、と発見の日々です。

 いつだったか日付は明確でないのですが、創造性についての文章が非常に面白かったのを覚えています。起源を隠すことが想像性の本質だ、という内容だったのですが、これじゃぁちょっとわかりにくいですよね。ということで軽く要約しますと、ある作品のできるきっかけとなったものに敗戦や深い悲しみがあったとします。でもそれを上手く隠して、観客はその起源を知らなくても作品を十分に楽しめる。そこに創造性の本質がある、ということです。かのアインシュタインも”Creativity is knowing how to hide your sources.”と言っていたそうです。

 −を+に変換してものごとを作り出すというのは、言うまでもなく簡単なことではありません。しかし、確かにゴジラ、ロード・オブ・ザ・リング、不思議の国のアリスなどの名作には全て隠喩が使われています。社会風刺や水爆の批判といった内容がこめられていますが、私たちはそれを感じることなく純粋に映画として物語として楽しんでいます。−を+にして後世まで作品を残していく。そうすることで、隠されたメッセージも後世に残っていきます。そして観客がこの作品のメッセージとは何かを考えた時に、隠されていたメッセージが浮かび上がってくるのでしょう。私たち観客の義務は楽しむこと、そしてメッセージを少しでも汲み取ろうとする努力をすることにあるのかもしれません。

 連続していた猛暑日に一区切りつきましたが、これからも熱中症には気をつけて過ごしてくださいね。では、また来週。

更新:2011-08-27
早稲田大学 国際教養学部(SILS) 小林 綾