第140回:ほっこり現象の考察

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 このほっこり現象はなぜ起きるのか。共通項を考えたときに気づいたのは、ぼく/私はこんな体験をしました、もしくはこんなことを考えました、と語るにとどめるということです。別に読者は興味がなければ「ふーん」と読み流してもいいし、読んでいて「へぇ」と思えば自分も行動したくなる。ミラノに今度行ったら道の幅も見てみよう、とかこんなへんてこな料理作るなんてよくやるよな、でもおいしそうだし作ってみるか、とか。「これおいしいから、作ってみて!絶対作って!」といった押し売り商人のような発言がない。だけど、なぜか心引かれて試したくなる。そんなエッセイです。

 さぁ、この「どうでもいいこと」を読者に委ねて、判断はまかせるという大発見を使ってブログをいざ書かんと思って前に挑戦しました。結果は大敗。難しかった。自分の伝えたいことがあるときってどうしても自己主張が強くなる、というか押付けがましくなってしまうんですよね。読んでいる人に私の考えていることを100%理解してもらおうとは思いませんが、せめて70%くらいは伝えたい、と思っていました。でも、そんなことは大した問題ではなかったようです。むしろ自分が書いたことで30%の理解度でも何かしら感じることがあって行動にうつしてもらえたら、それで十分なんですよね。きっとエッセイを読む人は(私を含めて)他人の頭の中をのぞいて、そこから自分の興味の幅を広げていくことが楽しいから読んでいるのだろうと思います。さて、長くなってしまいましたが『おおきなかぶと、むずかしいアボカド』もしくは『絲的炊事紀』面白いので、ぜひ読んでみて!来週までに絶対読んでね!!……なーんてね。

更新:2011-10-24
早稲田大学 国際教養学部(SILS) 小林 綾