第185回:本とのユニークな出会い方

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 こんにちは。9月になっても暑い日が続きますね。毎日、気象予報のたびに驚いてしまいます。でも、どんなに暑くても洋服や食物に少しずつ秋の気配がしのびよっていますね。食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋……といろいろありますが、今回は読書の秋について書きたいと思います。

 最近はAmazonが新たにKindle Fire HDを出し、楽天も電子書籍端末を販売しました。ネット書店も以前よりも数が圧倒的に増え、広告などのアピールが目立っています。紙媒体から電子媒体への移行が顕著になる中で、これから書店は以前よりも「書店に足を運ばないと味わえない」企画を出していくのでしょう。そんな企画の一つに先日足を運んできました。紀伊国屋書店の「ほんのまくらフェア」です。ほんのまくら、とは本の書き出し、冒頭文のことのようです。その冒頭文だけで本を選ぼう、というフェアで、表紙がその本の冒頭文のみでデザインされています。私も冒頭文で気になったものをいくつか買いました。そのフェアの棚の前で、冒頭文だけからその本を想像して買うかどうか迷う楽しさ。家に帰って、どの本を結局買ったんだろう?とページをめくる時のわくわく感。いつもの本屋では味わえない、まるで福袋のようなとても楽しい企画です。

 冒頭文だけで選んだ、と言いましたが、実はもう一つ参考にしていたものがあります。書店員さんのポップです。私は怪奇小説などの怖いものは苦手なので、冒頭文で惹かれてもそういった類の小説は買うつもりはありませんでした。ジャンルの判断をする際にポップを見て、最終的に買う本を選んでいました。若者の活字離れと言われた頃からか、書店では数多くのポップが見られるようになりました。以前もこのコラムでユニークな本屋を取り上げたことがありましたが、今回のポップやフェアでも各書店のアイディアの大切さを痛感しました。

更新:2012-09-18
早稲田大学 国際教養学部(SILS) 小林 綾