第203回:言葉と記憶
こんにちは。今週の月曜日、東京は大雪でした。あまりの寒さに身震いとともに思わず目が覚めて、外を見てみたら雪が降り積もっていたので本当に驚きました。各地で成人式がある日だったので、振り袖姿の人が多かったですね。今年成人を迎えた方、おめでとうございます。そして今週末はセンター試験ですね。受験生の方は寒さに負けずに頑張ってください!
今週の出来事ですが、就職活動の違和感が描かれている朝井リョウさんの『何者』が直木賞を受賞しました。何者……タイトルからインパクトがありますね。私は最近、サークルの後輩やゼミの後輩のスーツ姿を見て自分の一年前を思い出すことが多いです。就職活動に夢中でがむしゃらになっていたけれど、傍から見るとこんな風にうつっているんだなぁと今さらながら感じました。就活生って、なんというか、就職活動をしている学生ならではの独特の緊張感と忙しなさがありますよね。今思い返せば、周りと比較をして焦ったりとか、とりあえず何かをしてなきゃいけないという脅迫観念にとりつかれていたような気もします。もちろん、色々な企業の説明会に行って話が聞けるのは本当に面白かったし、自分の将来をしっかりと考えて可能性を広げている感覚があって楽しいと思ったこともありました。でも、いざ就職活動を終えてみると、あの時に感じていた違和感をもう忘れてしまっているように思います。システム化されていることや、内定がもらえる人という型が出来上がっている不思議さを感じていたはずなのですが。
その時に自分が感じていることってちゃんと言葉として残しておかないと、意外とすぐに忘れてしまうものなんですよね。今回は幸い、『何者』という小説のおかげで、その時の気持ちを思い出すことができました。健忘、という言葉があるように嫌なことを忘れることも健康である一つの秘訣ですが、忘れてしまってはもったいないものもありますよね。そういった気持ちはきちんと言葉にして、どこかしらに書いて残しておこう、と思いました。
早稲田大学 国際教養学部(SILS) 小林 綾