第5回:なんでもシステム

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SFCでは「システム」という言葉は多くの意味を持っている。 SFCに限った話ではないが、特にSFCはそう。 というのは、単に授業や講義の範囲内でも、「社会システム」「地球システム」「環境システム」「生命システム」などの講義があり、文字通りの「システムエンジニア」も多くいて、それぞれの意味が違っている、ということ。

もっといえば、SFCの根幹をなす概念である「自律・分散・協調」もそう。この言葉も「システム」のことを言っている。

僕なりの解釈で、一番「合っている」と感じたのは、アーサー・ケストラーという学者(作家でもある)の提案した「ホロン」という概念。 これは端的に言うと、「半自律的な亜全体が下位レイヤーの亜全体へと枝分かれし、それが繰り返される多準位階層性をなすもの」と書かれている。

わかりやすく言えば、「人の集合が共同体を作り、共同体の集合が国家を作り、国家の集合が……」。 また、「人は細胞の集合であり、細胞は分子の集合であり、分子は原子の集合であり……」ということでもある。

この考え方は、すごく面白い、と僕は思っていて、レベルを変えてものごとを考えてみたり、ネットワークの流れを考えてみたりすることで、多くの知見が得られる、と思っている。SFCも、おそらくそういう意識を持っていると思う。

たとえば、犯罪者がなぜ犯罪を犯したかを考える犯罪心理学という学問があって、 ①社会の混乱がそうさせた(上部構造を考える) ②自身の周りの環境がそうさせた(ネットワーク) ③遺伝的にも生物学的にも犯罪を起こしやすかった(下部構造) などといった考え方ができるということ。

そういう考え方をすると、思いつくもの、すっきりするものは、わりと多くあると感じている。

更新:2012-08-13 慶應義塾大学 環境情報学部 中園 翔