第7回:外交というやつ

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ロンドンオリンピックが終わった。世界最大のスポーツの祭典には、開会式から閉会式までを通して、イギリスという国が「ポップカルチャーの覇者」であることを感じさせるシーンが多かった。
ビートルズのポール・マッカートニーをはじめとした、ポップスターをふんだんに起用したセレモニーの多くが、それを証明している。

こうしたセレモニーには、たいがい、出場参加国の首脳だの外交上の要人が出席している姿が見受けられる。もちろん彼らは、ピンク・フロイドやザ・フーのパフォーマンスを楽しみに来たのではない。
では、何をしに来たのかというと、外交だ。
国際政治の舞台では、「弔問外交」とか、「オリンピック外交」という言葉がある。そのようにして要人が集まる場所には、必ず、ネクタイをゆるめた秘密の会談や、内規がある。もっとも、日本は、いろいろなしがらみがあって、「重要な弔問に要人を一人も出さない」なんてことがままあるのだそうだけれど。

それで、そうやって膝を突き合わせて、話をするということが、なぜ重要なのか。僕が思うに、こうした「○○外交」は、とにかく歴史上古くからの慣習で、公式に会談を申し込めない相手と膝を突き合わせて話すための唯一の方法だったのではないだろうか、と思う。
電信や電話というレベルの情報技術では、セキュリティに不安があって、それが今日まで続く伝統となっているのだ。

だが、今日の我々の暮らしには、もはや誰でも、どこでも、いつでも情報を発進し、相手に伝える技術が充実していて、その上、誰との、どんな場所での、どんな時間帯の(現実世界における)会話であっても、盗聴される危険性をゼロにすることはできない。

であれば、もっとテクノロジーに満ちた外交やコミュニケーション、インテリジェンスというものが行われているのでは、と考えた。
これは、来週まで、勉強したいことの一つ。

更新:2012-08-17 慶應義塾大学 環境情報学部 中園 翔