問題文
「フランス文学科の小論文」と言うよりも、「文学部の小論文」といった方が適しているような文章が出題される。たとえば「西洋文明を取り入れた日本社会」についてとか、「(日本の)音声言語と文字言語」についてとか。人文学系の学部であれば頻出のテーマが中心である。そこではフランス文学に特化した「知識」よりも、一般的な「読解力」や「文章力」「考察力」が試されているのであろう。そのために、与えられる文章も、語彙が難解で、論理の複雑なものが多くなるのだ。
それが「現代文」ではなく「小論文」である意味は、フランス文学科の場合は最終問題の意見論述問題(制限字数800字)にある。そこでは「現代文」のような文章細部の正確な理解力が問われるのではなく、文章全体の「論理構造」を使用することが求められているのである。もちろん「文芸」を主軸とした「文学部」であるために、言語表現力も必要となる。そのような「書く力」「考える力」を測るために小論文が課されるのである。
設問
漢字と語彙の問題が5~10問ほどと、傍線部の要約(推論)説明問題が2~3問ほど。最後に800字程度の意見論述問題が出題される。「語彙」と「要約説明」は、ほぼ「現代文」と見做される。小論文と捉えてよいのは最終問題と、要約説明に「推論」や「事例の提示」が必要な場合のみである。「推論」にしても「事例の提示」にしても設問文に条件が付されているので、基礎的な解法さえ身に付けておけば、あとは条件に従って解答を作るだけである。800字の意見論述問題にも例年、解答の方向性に関する指示が加えられているので、それに従って論述を進めればよい。逆にそこで「指示」を見逃してしまうと、いくら優れた文体と考察を書いても「答案」としては成立しなくなってしまう。
また青山学院フランス文学科の場合、800字の意見論述問題の冒頭にも「著者の意見の要約」を記した方がよいであろう。二項対立的な文章であれば、「賛否」も明記しておくことを勧める。数年に一度そのような指示が出されているのだ。「出題者側の考え」を汲み取ると、指示が無くても「書いた方が(どちらかと言えば)良い」となるのではないか。
合格レベル
共通テストの外国語が200点。小論文が200点。2021年は小論文で132点が基準点となり、それ以上の者が外国語の点数により上位から選抜された。外国語の最低点は179点である。倍率は2.4倍。小論文の点数が低く、外国語の点数が高いことからは、「小論文」は最低限度の「読み」「書き」と「設問対応」が出来るかどうかだけを見て、本格的な合否判定は「外国語」に委ねられていることがわかる。800字の意見論述問題は、「ヒドイ答案」とならないように「体裁を整える」練習くらいはやっておくべきであろう。
対策
800字の意見論述問題以外は現代文の対策で足りる。一般的な受験・現代文の対策をしておいてほしい。
800字の意見論述問題に関しては、基礎的な「設問への対応の仕方」と「答案の構成の作成方法」を知っていれば、あとは「文章力の養成」に重点を置いて過去問を解くのが有効であろう。もちろん「時間配分」を気にする必要はある。だが、ここでは「小論文」に時間を掛けるよりも、外国語の習得に少しでも多く時間を割いた方がよいであろう。青山学院文学部フランス文学科の合格者選抜方式では、小論文は「読み」「書き」「設問対応」と「答案全体の体裁」が整えられていれば十分なのだ。
志望校合格に必要な力を効率よく身につけるとともに、小論文の「本質」を学んで、人生を謳歌するための強力な武器を手に入れていただければ幸いです。
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