問題文
公募制入試と同じく、問題Ⅰと問題Ⅱの大問2題からなる。問題Ⅰは800字前後の文章読解型小論文で、問題Ⅱは400字前後の課題型小論文である。ともに「哲学的」なテーマが出される。制限時間は60分となっている。
文章読解型小論文の問題Ⅰでは、「要約」と、要約に対する「意見提示」が求められる。そこでは「読解力」と、読解したテーマを使った考察の「展開力」が試されている。設問文には例年「あなたの考えを自由に…」と記されているが、それは「本文のテーマや論理の範囲内で自由に…」という意味である。
課題型小論文の問題Ⅱでは、3~5個の「哲学的な問い」の中から一つを選び、それに対して考察を深めることが求められる。新書などの初歩的な「哲学入門書」にも載せられているような内容が出題されている。哲学科志望であれば、だれもが一度は考えたことのあるものが多い。
設問
公募制入試と同じく、問題Ⅰは、基本的には「この文章がテーマとしている問題について、あなたはどう考えるか」という設問である。字数は800字以内の場合が多いので、「文章の趣旨」を冒頭の200~300字を使ってまとめておくのが無難であろう。そのあとに「自己の見解」を展開していく。その際の注意点は、これが「哲学的」なテーマであるのを意識することである。これは学部に特化した問題なのだ。そのため「解法」としては「設問の文言に忠実に応える」のではなく、「過去の傾向」と「学部の内容」「出題者側の意図」に忠実に「応える」べきとなってくるのだ。
問題Ⅱの設問は、基本的には「選んだ哲学的な問いについて論じなさい」というものである。選択肢がなく「あなたが興味のある哲学的な問いを挙げ…」という年度もある。どちらにしても、これにはある程度の「知識」または「教養」というものが必要となる。400字ほどの記述であるため、哲学科志望者にとっては「常識の範囲内」と捉えた方がよいであろう。ここではその「常識の範囲内での知識」と、それに対する「自己の見解」を普段から持っておくことが求められているのである。
合格レベル
カトリック高等学校での評定平均値と外国語試験の基準をこえた者に対して、書類審査と小論文、面接試験で総合的に判定される。2021年の入試改革によっておそらく志願者倍率は高まったことであろう。が、問題内容は公募制入試と同じく「哲学に興味がある高校生」レベルのものであり、2021年度の合格者を見ても「哲学的」な論が展開できれば小論文では十分に通用するものと思われる。ただ、上智大学は各年度によって志願者倍率の上下動が激しいので、過去問を使った入試対策は確実に行っておくべきであろう。
対策
公募制入試と同じく、新書などの高校生レベルの哲学入門書は、読んでおいた方が良い。それを「暗記」するのではなく、「哲学的な考察」とはどのようなものかというイメージを掴むことが重要である。さらにそれを土台として、日常に起こる事象についての考察を自分なりに深めていくと、入試本番でも役立つであろう。
また「過去問への慣れ」というものも、必要となる。「初見の問題」では時間配分も最適な解答方法もわからないのだ。特に上智の哲学科の場合、60分で合計1000字以上の文章を記すことが求められる。「はじめて解く」場合、考察時間も含めるとこれは困難なことであろう。その「対策」としても、過去問を使い「自分なりの書き方の工夫」を構築していくことは有益である。