問題文
イスパニア語学科・カトリック推薦の小論文では、5ページ前後の文章が出題される。量としては公募制入試の倍程度であろうか。文体は平易であり、読みやすいものとなっている。制限時間が60分であることからは、そこでは「細部に至るまでの正確な理解」が求められているのではないことが分かる。
内容は、スペイン文化やスペイン語について出されることもあるが、政治・経済から日本文化や哲学、IT技術やメディア論まで、社会全般から広く出題されるのが基本である。すべて含めて「国際系」という枠組みで括ることは、出来るのかもしれない。「日本語論」についての文章が出たとしても、それは他国の言語と比較した場合の「日本語」となるのである。
重厚な文章に対して長大な記述が求められるような小論文ではないため、問題を解いた際の「手ごたえ」は感じられない。が、身近なテーマに対して短い時間でどれだけ深い意見を述べることができるのか、といったことを測る点では最適な問題である。特に「日ごろから、海外情勢についてどれだけ関心を持っているのか」といったことを知るのには、有効な小論文の問題であるのかもしれない。
設問
漢字の「読み」「書き」が10問。50字ほどの傍線部の要約説明問題と、100字ほどの傍線部の要約説明問題が1~数問。400~800字の意見論述問題が1問という設問構成になっている。設問数は多いかもしれないが、問題文が難解ではなく短いために、時間配分をそれほど気にすることはない。
またこの課題が「日本語の読解力と表現力」とされているように、イスパニア語学科の設問には、現代文的な要素が強くあらわれている。一般的な「小論文」と言えるものは300字前後の意見論述だけであろう。
ただその数百字の意見論述も、設問の指示によっては「自由な意見」が求められてはいない年度もある。反対に、50~100字ほどの要約説明問題でも、設問の指示によっては「具体例を挙げながら…」など「単なる要約」ではなく「推論」や「発想」が求められていることもある。そのような点は、年度によって異なるため、気を付けておかなければならないだろう。
合格レベル
カトリック推薦制度全般に言えることだが、カトリック高等学校での評定平均という選定があるために、世間一般の入試制度と比べて「難易度はそれほど高くない」という印象である。が、2021年度以降、カトリック高等学校内での選抜が無くなった。評定平均値と外国語試験の基準をこえた者であれば誰でも受験が可能になり、書類審査と小論文と面接試験で総合的に合否が判定されるようになったのである。それにより志願者数は増えたことと思われる。ただ、もともと上智大学のイスパニア語学科を第一志望として学業を進めてきた者にとっては、そのような入試改革も、それほど意味を持つものではないであろう。
対策
小論文の前に現代文の「読解」と「解法」を学ぶべきであろう。それを前提として、「推論」や「具体例の挙げ方」といった小論文の基礎的な項目を学ぶ。それらを土台として、100字程度の要約説明問題と400字前後の意見論述問題を解いていけば、回答の方向性を大きく間違えるということないであろう。
「実践演習」としては、他大学の小論文の問題をやるよりは、現代文の問題集などを解いた方がよい。現代文の問題を解いた後に、「全文要約」を書き加え、さらに200~300字ほどで「自己の見解」を述べていく練習を積むと効果的なのではないか。