カトリック推薦の小論文
上智大学総合グローバル学科では常に「グローバリゼーション」をテーマとした小論文が出題される。公募制入試とカトリック推薦の違いは、出題形式が、文章読解型か課題型かというところにある。公募制ではグローバリゼーションに関する問題文が載せられ、それに対する考察が求められる。カトリック推薦ではグローバリゼーションにまつわる数行の設問文のみが載せられ、自由に論を展開していくことが求められる。
公募推薦とカトリック推薦の「考え方」と「書き方」は同じである。ただし「主張の出し方」や「事例の見つけ方」などの視点や着眼点に関しては、カトリック推薦の方が格段に難易度が高い。そこには「主張を導く手助け」となり、「事例を思い浮かべるためのヒント」となる問題文が記されてはいないのである。
総合グローバル学科の小論文は、公募推薦よりもカトリック推薦の方が「難問」である。それは数行程度の設問文だけで成り立っている、課題型小論文の難点でもある。課題型小論文に正面から取り組み、回答の精度を上げていこうとすると、そこには広い知見の蓄積と、確かな主張の構築が必要となってくるのである。
合格レベル
小論文という科目のみを見ると、公募制入試よりもカトリック推薦の方が難しい。カトリック推薦で出題される課題型小論文というものは設問条件や記述制限が少なく比較的自由な論述が許されるのだが、その分、自分で主題も事例も結論も考えなければならないのである。
たとえば2018年の問題は『国内外で現在起きている紛争や人の移動、貧困、環境など開発に関わる問題をひとつ以上とりあげ、「人間の安全保障」という概念を用いて論じなさい。(60分800字)』というものであった。これを解くためには日頃から、グローバル化という世界の現状を具に観察し、「紛争」や「貧困」「環境開発」というものを具体的に想起できるようにしておかなければならないだろう。
もちろんカトリック推薦という上智大学の入試制度は、「小論文」だけで決まるわけではない。その根本にはカトリック高等学校での「学び」と、その結果としての「評定」がある。合否は書類審査と小論文と面接試験による総合的な判断で決まるのだ。書類審査と面接試験に自信があれば、多少なりとも小論文が書けなくても、心配はないことと思われる。
カトリック推薦の対策
小論文の初学者が、カトリック推薦・総合グローバル学科の小論文を解くのはほぼ不可能であろう。そこでは「自らの力で論を組み立てていく能力」と「グローバル化する世界の状況を把握する能力」が試されているのである。そのため「小論文の過去問を見て、総グロ・カト推の受験を諦める」ということは止めてほしい。的確な練習を積めばすぐに書けるようになるのである。評定と書類審査と面接試験に自信がなくても、「設問に応じた解答」を「制限字数に近い範囲」で書き切ることは出来るようになる。それによって小論文での上位を狙え、それによる「逆転」も十分に可能であるのだ。
そのためには、「書く力」と「考える力」の養成が不可欠となる。「書く力」に関しては、何もないところから800字の論を書ける程度に。「考える力」に関しては、「グローバリゼーション」というテーマであれば「何が出ても応えられる」程度に。適切な手段を踏めばその養成は、意外と容易なことなのである。