問題(講義形式50分)
慶應義塾が発表している講義内容は「大学1年生が受講して理解できるレベルの講義」というものである。もちろん「法学部」の大学1年生であり、「法学部」の講義ということになる。慶應の場合は法律学科と政治学科があるため、政治的な内容も出題される。そのため、会社法から国際条約、政治政策と出題範囲は多岐にわたる。
ただ、それらについて予め知っておく必要はない。それが「講義」であるということは、「知恵と情報を伝達する」という前提がそこには存在していることになるのだ。しかも「大学1年生が受講して理解できるレベル」なのである。「1年生」では意欲以外には、法学の知識もなければ経験もないのである。
講義内容については「法律と政治にまつわるもの」という程度の理解で十分であろう。その代わり、テーマごとに組み立てられた大学の講義の「形式」というものには、慣れておく必要があるのかもしれない。それをどこまで詳細にノートにまとめ、時間内に、どこまで正確に理解して、どこに論点があるのかを自分なりに探ることができるのか、が重要なのだ。
設問(A3レポート用紙・字数制限なし)
設問は2~3行ほどで、毎年「授業で語られたことをもとに~」や「できるだけ具体的に~」「賛否を表明し~」「10行程度で要約し~」といった基礎的な条件が付されている。これらの基礎的条件は、その年の設問内に記されていなくても解答には書くべきであろう。「設問条件になければ書かなくて良い」という考え方もあるが、「合格レベルの答案を確実に作る」という目的のもとでは確実に「書いた方が良い」のである。
そのような基礎的条件と合わせて設問文を見てみると、そこからは「与えられた論理構造を理解し、それをどこまで駆使できるのか」といった出題者側の作問前のテーマや意図が見えてくる。「法律もしくは政治にまつわる講義」を聴き、そこで用いられていた単語や論理を使用して、どこまで自分の意見を言えるのか。個々の受験生のそのような能力を測ることを目的として、講義と設問の文章が設定されているのである。
そうなると、この「設問の意図」を理解し解答を作成するには少しだけ法学的な姿勢が必要となってくるのかもしれない。やはり「法律学科」「政治学科」に在籍する者として聴講し、設問に応えてもらいたいのである。
対策
FIT入試A方式の対策としては、「ノートの取り方」と「解答の書き方」という二つの対策が考えられる。「ノートの取り方」については、高校の授業でも練習は出来るだろう。その場合は、「完結した一つの授業」ということを意識しておいてほしい。「授業一つ」で「一つの項目」「一つの単元」についての説明がなされるのだ。そしてその「授業内容」を「使用すること」というのも大切である。A方式の講義は「設問」で「使用すること」を前提として作られるのだ。さらに「口頭での具体例」や「余談」も正確にノートにとっておく必要がある。どこにヒントが隠れているのかは、わからないのだ。
「書き方」については、基礎的な小論文の解法を覚えていれば十分であろう。ただ、A方式の場合は制限時間が短いために、かなり早く考えて、早く書き終わらせなければならない。そのためには、ある程度「書き方」を固定化しておく必要がある。講義内容に対する解答(自己の見解)の立ち位置も、ある程度は定めておくと余裕が出てくるであろう。欲を言えば具体例までパターン分けして、どのような問題であっても最低限の対応は出来るようにしておいてほしいが、そこまで形式化してしまうと「継ぎ接ぎ」だらけの不自然な答案になってしまう可能性もある。そこは「時間」と「完成度」を天秤にかけて(自分にとって)最良の「書き方」を探しておくべきであろう。
合格レベル
A方式では2020年までは集団討論があり、2022年からは論述試験に加えて口頭試問が課されている。そのため論述試験のみの「合格レベル」は曖昧なのであるが、法律学科であれば2021年は78%、政治学科は70%程度が最終合格者となっている。その「%」と過去の合格者の学力を見ると「論述試験に不可欠な基礎的項目」さえ満たしていれば合格する、というのが実感であろうか。それほど緻密な考察や高度な具体例が求められているというわけではないのだ。
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