問題文
公募制入試と同じく、カトリック推薦の問題文も、ドイツ文学に特化した問題文が出されるというわけではない。「外国語を学ぶこと」や「コミュニケーション論」「教養について」など、「日本で外国文学を学ぶこと」とその周辺に関する文章が出題される。
文章自体の読み取りに関しては(おそらく)問題が生じるということはないであろう。基本的にドイツ文学科の問題文は平易な文体で記されていることが多いのだ。しかし、その内容を完全に理解しようとすると急に難しくなってくる。それは「物事の真理」や「世界に対する新たな見方」などの複雑で、哲学的な内容を扱っていることが多いのである。
「読解」よりも「考察」を重視している点では、典型的な小論文の問題と言えるのかもしれない。「ドイツ文学」というよりは、「異文化理解」を中心とした「本質を突く文章」が出題されやすい点においても、典型的な「文学部の小論文」の問題と言えるだろう。
設問
公募制入試と同じく、上智大学ドイツ文学科・カトリック推薦の設問も、「ドイツ文学」に特化したものではない。上智の外国語学科や文学科で頻出の「志望理由書のような内容」でもない。そこでは例年「問題文についての考察」が試されるような設問が課されているのだ。条件として「ドイツ語圏の事例を挙げて…」という文言が付されることもあるが、ドイツ文学科志望であれば事例は「ドイツ関連のもの」が第一に思い浮かぶはずであろう。
そうなると、これは広く「人文学系」の入試で出されるような「小論文」ということになる。指定字数は800字以内の場合が多く、「著者の意見の説明」を求められる年度もあるため、はじめに「要約」を書き、その論旨に従って「自己の見解」を進めていくのが適当となる。「自己の見解」と言っても、設問に従うと「本文に記されてある範囲内」での「自己の見解」となってくる。
合格レベル
2021年度以降、カトリック高等学校での評定平均値と外国語試験の基準をこえた者に対して、書類審査と小論文、面接試験で総合的に合否が判定されるようになった。
カトリック推薦制度全般に言えることだが、カトリック高等学校での評定平均という選定があるために、世間一般の入試制度と比べて「難易度はそれほど高くない」という印象である。特にカトリック推薦の使用者は上智大学を第一志望として受験を進めていこうとする者であり、まずはカトリック推薦の対策のみを行えばよいので、「困難さ」を感じないような、余裕のある受験計画が立てられるのではなかろうか。
対策
公募制入試と同じく、一般的な人文学系の小論文の対策をしていれば、十分であるとも言える。もちろん過去問を数年分は解くことを前提として、それ以外には特別にドイツ文学科についての対策を練る必要はない。
「文学の意義」「教養の意義」「異文化理解」「コミュニケーション」「グローバル化」などの国際系を中心とした、広く人文学系の問題に慣れておくことを勧める。
また具体例については「ドイツ文学を例に…」などの設問条件にも対応するため、「ドイツ文学」「ドイツ語関連」の得意分野をいくつか準備しておくべきである。文化や歴史や文学について、2つや3つ、400字ほどで語れる分野があれば安心であろう。それらを問題文の趣旨に合わせ、設問条件に従いつつ、小論文の解答を作成していけばよいのである。