問題文
「制限時間60分。指定字数800字」という要求に適した量の文章が出題される。その文体も難解な語彙が多いということはなく、読みやすく、分かりやすいものである。
ただ、内容を見るとやや哲学的な要素もあり、理解するのが困難となる箇所もある。その通り、看護学科公募制推薦入試の小論文では、人生の意義についてであったり、人間の生と死についてであったり、「自己の使命」「他者理解」「学び」「欲望」などのような「生きる上での前提となること」を問う内容が多いのである。
この「問題文」では「文章読解」というよりも、読んだものを理解し、それをどこまで論理的に深く考えることが出来るのか、といったことが試されているのであろう。そうすると、問題文に対する「表面上の理解」は解答を作成するにあたっての「前提」ということになり、「文章読解」の時点では躓けなくなってくるのだ。
設問
設問はほぼ毎年「以下の文章を読んで、あなたの考えを800字以内で述べてください」というものである。それに「具体例を挙げながら」や「主題〇〇〇について」などといった簡単な条件が添えられるだけである。
このような場合は、設問文に記されてはいなくても「要約」は載せておくべきであろう。もちろん場合によっては無くてもよいが、書いた方が、利点が多くなるのである。その「要約」の後の展開を進めていくのは、基礎的な小論文の解法を心得ていれば容易であろう。注意点としては「問題文の趣旨を踏襲すること」と「具体的な事例を入れること」と「設問の要求に一貫して応えること」などがある。
「医療従事者としての知識」については、「あった方がよい」という程度であろう。「知識」に偏り過ぎると、「問題文の文脈」や「設問の意図」に忠実に反応していくことが困難になるのである。「医療者としての適性」や「看護師にとっての常識」に抵触しなければよいのだ。
合格レベル
自己推薦書とレポート課題、面接とともに総合的に判定される。上智の総合人間学部看護学科では2017年が1.8倍、2018年1.9倍、2019年2.6倍、2020年2.1倍、2021年1.3倍となっており、平均して2倍前後である。つまり受験生の平均点がボーダーラインということになる。そのような場合はまずは「ミスをしないこと」を心掛け、次に看護学科であれば「読み手を意識した丁寧な説明」が重要となってくるのであろうか。これについては他の評価基準の出来にも左右されてくるであろう。
対策
入試本番までに「読解力」と「考察力」を高めておく必要がある。問題文を確実に理解して、自分なりに深く考えた意見を導き出せるようになっていれば、余裕をもって本番を迎えることが出来るのである。10月末には小論文は「ミス」と「説明の丁寧さ」だけ気にすればよい、という状態になっているのが最良であろう。
さらに上智の看護学科では「自分なりの人生のヴィジョン」などといった哲学的なテーマに対する「解答」を、いくつか作っておくことも、有効であるのかもしれない。思考に瞬発力があれば「人間の生き方について、あなたの考える主体性とは…(2012年過去問)」といった設問にも「人生」を単位とした自分なりの深い意見を言えるのだが、なかなかその場で「人生の指針」などを示すのは難しいであろう。そのような出題があることも想定して、「ある程度の解答」は用意しておいた方が良い。
志望校合格に必要な力を効率よく身につけるとともに、小論文の「本質」を学んで、人生を謳歌するための強力な武器を手に入れていただければ幸いです。
日本全国、海外からオンライン受講も可能。受講生のニーズに合わせ、3つの講座からお選びいただけます。
▶洋々の無料個別相談
小論文講座についてのご相談を洋々のプロフェッショナルが承っています。渋谷本校・Zoom・電話で相談可能です。お気軽にお申込みください。