カトリック推薦の小論文
上智大学ポルトガル語学科カトリック推薦の小論文は、公募推薦の小論文と大きく異なる。公募推薦は「ポルトガル語圏の基礎的知識」が中心となっているのだが、カトリック推薦は文章読解型小論文を中心として作られている。その文章は、「前年の日刊新聞」における「ポルトガル語圏」もしくは「国際関係」にまつわる記事の中から出題される。
具体的な内容としては「日系ブラジル人との共生」や「多民族国家と民主主義」といったテーマが出題されている。そこでは「ポルトガル語圏」を出発点として広く「国際社会全般」にまで思考を巡らせることが求められているのである。そのため、カトリック推薦においても「ポルトガル語圏」に関する多少の知識が必要となってくる。が、公募推薦のような細かな知識が問われることは無い。あくまでもそれは「文章読解型小論文」を主体としており、推論」もしくは「自由論述」を通して解答を作成することが望まれているのである。
ただ、頻出する定型的な設問条件に「あなたが大学で学びたい事柄と結びつけながら…」というものがあることは、覚えておくべきであろう。「自分自身」がポルトガル語学科で「学びたいこと」を「時事的な問題」に合わせて具体的に説いていく。ポルトガルに関する用語などの単純な知識は要らないが、「私」と「志望学科」を「社会情勢」に絡ませて、多面的に語れるような準備はしておいた方がよい。
合格レベル
2021年の入試改革以前であれば、「書き方」さえ「小論文の型」に嵌っていれば合格できたかもしれない。カトリック推薦では、公募推薦のような細かな知識が問われるということもない。問題文も新聞記事からの出題であり、「むずかしい」という内容ではない。400字程度の論述に関しても、志望理由書さえ仕上げておけば、それを組み替えることで解答を作成できてしまうのだ。が、2021年度の入試改革以降においては、点数の差異化が行われるようになってくる。2021年以降は志願者の数に合わせて段階を踏んで合格者を絞っていかなければならず、「書類」「面接」「小論文」の中でもっとも評価を点数化しやすいのが小論文なのである。そうなると、カトリック推薦の受験者数と受験者の質が一定化されるまでの2021年以降の数年間は、公募推薦と同程度にカトリック推薦においても「小論文の対策」はしておいた方が安心であろう。カトリック高校での成績・態度・活動に加えて受験対策までやっていれば確実に、「総合的な判断」として、合格レベルに達することと思われる。
カトリック推薦の対策
「私」と「ポルトガル語圏」と「大学での学び」を結び付けて、どのような設問にも応えられ、400字ほどで語ることが出来るようにしておくことが、もっとも重要な対策である。それと同時に「ポルトガル語圏」の各国の地域文化や経済、政治等について広い知見を蓄えておく。「世界史用語集」にあるような単発的な知識ではなく、歴史の流れやその国の雰囲気、風土、慣習、気質などについて多面的に調べ、心得ておくことを勧める。これは自身の将来像や大学4年間の計画にも直結することなので、いくら時間を掛けてもよい。そのような「土台」をもとに、小論文の基礎的な「読み方」と「書き方」の練習へと進んでほしい。そのような「土台」が確かなものであれば、小論文に関しては、「基礎」さえ身に付ければ十分であろう。小論文で大切なのは、まずは「自身の考え」を持つことなのだ。「確固とした自身の考え」を与えられた文章に合わせて変形し、設問条件に適した型へと組み替えていく。そのような方法で出題者側の要求に沿った解答を作成できるようになれば、小論文に関しては、何も言うことは無いであろう。