カトリック推薦の小論文
設問文が1行程度の簡潔な課題型小論文が出題される。制限時間は60分。指定字数は無制限。公募推薦や一般選抜も受ける可能性がある志願者は、それぞれの出題形式と内容を確認しておくことを勧める。それらはまったく異なる形態であるために、上智の教育学科を目指すのであれば、すべて含めた小論文対策を練る必要があるのだ。
直近4年のカトリック推薦の問題は「教育における権利と義務について、自ら問いを立てて、論じなさい」「第4次産業革命が教育に及ぼす影響について論じなさい」「多様な背景をもつ子供たちへの教育機会の保障について、自ら問いを立てて論じなさい」「教育の格差に関連して、自ら問いを立て、論じなさい」といったものである。
傾向としては「教育に直結する内容」「社会の現状を背景に含む時事性」「俯瞰的なテーマ」といったものが考えられ得る。求められているのはおそらく「教育」に関する多面的な視点であろう。教育学科を受験するのであればどの大学でも「教師の視点」を持っていなければならない。上智大学の教育学科ではそれだけでなく「社会的な側面から見た教育」というものについても、事前に考えておかなければならないのである。
合格レベル
世間一般の傾向として、「大学名」や大学の「ブランド力」を優先した場合、「教育学部であれば合格可能性が高くなる」と考える受験生も数多く存在している。カトリック系の高等学校に通っていれば上智大学の場合、志願者倍率の低いカトリック推薦があるので、そのように考えるのも不思議ではない。が、やはり「上智大学に入れるのであれば、どの学部でも良い」という気持ちでは、教育学部には受からないのだ。
「大学名」を取るのであればカトリック推薦ではなく、一般選抜試験を勧める。一般選抜では志望の動機が問われることは無いのである。
カトリック推薦は「書類」と「面接」と「小論文」の総合評価によって合否が判定される。上智大学の場合、海外就学経験者入試や公募制入試でも同様に、そこでは「あえて上智大学の教育学科で学ぶ意義」が問われるのだ。そのような上智大学総合人間学科教育学科で学ぶ、確固たる「理由」と「意志」と「経験」があれば、カトリック推薦の教育学部には、容易に合格できるのではなかろうか。
カトリック推薦の対策
「教師」や「教育関係者」の視点を持つことは、「前提」となる。どの大学を受けるにしても、教育学部の入試に小論文の試験があるのであれば、「教諭としての倫理観」というものを忘れてはならないだろう。小論文は「思想」や「信条」を測るテストではなく、「思考力」や「文章力」を測るテストなのであるが、日本社会の現状を鑑みると、そこでは揺るぎのない「教育者としての倫理観」が求められているのである。
それを「前提」として上智大学の教育学科では「俯瞰的な視野」というものが必要となる。そこで学んでもらいたいのは「日本を超えた国際的な教育」であり、「教育者をも教育する教育」であり「世界の未来を見据えた教育」なのである。それらのことに興味があり、日常的に考えていてくれていれば、「書類」「面接」「小論文」という総合評価のどれをとっても十分に対応できることであろう。