問題文
2015年前後の問題文は、ほぼ「所得格差」がテーマであった。日本社会における貧困の原因を突き詰めていくとそこには「市場経済・競争」がある、という内容であった。が、2017年以降の問題文にはそのような決まったテーマはなく、社会学全般から様々なテーマの問題文が選ばれている。
また2016年頃までは(文章を読んでそれを問1で要約し、問2で自己の意見を述べるという)典型的な文章読解型の小論文が出題されていた。それまでは時間内に読解と回答が出来る「適量」と「適切な設問形式」で固定されていたのである。が、それ以降の問題は、極端に文章量が多くなったり、設問が穴埋め形式になったり、下線部の要約説明や推論が求められたりと、「典型的な小論文」の形式からはややズレるものが多くなっている。そのような変化は、もしかしたら上智大学の教育方針に変化があり、その重点が「不平等・不公平の解明」から「多様な価値観と社会制度の追求」へと移ってきたからであるのかもしれない。
設問
かつての上智大学社会学科の基本的な設問形式は、問1が要約で問2が意見論述というものであった。要約は200字前後で、意見論述は400~800字という一般的なものであった。が、2020年前後の上智大学社会学科の小論文ではそのような「基本的な小論文の設問形式」は出されなくなる傾向にある。「問題文」が多様化してきたのと同時に、「設問」も多様化してきたのである。
その中でも典型的な「特異さ」をもつ問題は「2020年カトリック推薦」の設問であろう。「公募推薦」ではないが、作成者は同じである。そこでは「クロス集計表」という図表を作成するための説明文が出され、計算した数値の穴埋めや、推察できる文章や単語の補充問題が出されているのだ。設問はそのようなものが5問あるだけで、数百字の論述・記述といったものは一切求められてはいないのである。
今後の傾向としては、「2020年カトリック推薦」のような設問と、従来の「要約+数百字の論述」という設問の両方が考えられ得る。そのような場合には、どちらにも対応できる「柔軟性」が必要となってくるのであろう。
合格レベル
自己推薦書とレポート課題、面接とともに判定される。社会学科は志望者の倍率が変動しやすく、合格レベルもそれに応じて変動してくる。2015年は1.6倍、2018年は5.9倍、2020年は7.5倍であるが、2021年は2.5倍となっているのだ。小論文としては、まずは「大きなミスをしないこと」を心がけ、そこから「出来る限り高得点を狙う」しかないであろう。社会学科に限っては、「合格レベル」はその年の出願状況が分かるころに予測できるのである。
対策
「貧困と市場経済」については過去問を解き、意見や論の方向性、解決策をいくつか考え、まとめておけばよいであろう。そればかりを解いていると「新たな問題」への対応力が弱まってくることもあるのだ。
それよりも、「今後の対策」ということを考えるならば、様々な「社会学」系の問題を解いた方がよい。公募推薦だけでなく、カトリック推薦や海外修学経験者入試、(駒澤大学や明治学院大学など)他大学の社会学部の入試小論文を解いてみるのも、「初見の問題」に慣れるためには有効であろう。それらを通して、小論文の基礎的な「書き方」や「解き方」「考え方」を身につけ、自分なりの回答方法を確立していくのが、もっとも効率的である。
志望校合格に必要な力を効率よく身につけるとともに、小論文の「本質」を学んで、人生を謳歌するための強力な武器を手に入れていただければ幸いです。
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