問題文
カトリック推薦の2020年度の問題は特異なものであった。2020年の問題が例外なのかどうかは今後の動向を見てみないと分からないが、それ以前は典型的な「社会学」の文章が出題されていた。たとえば「オウム真理教」についてとか、「高学歴社会」についてなどである。その内容も、社会学的な「現状の分析」を中心としたものであった。上智大学だけでなく、他大学の社会学部の小論文でも見られる内容である。
2021年度のカトリック推薦の問題は、内容としては「社会学的なもの」へと戻ったのだが、文章の長さがこれまでの倍程度へと変更された。これを60分で読み込み、さらに設問に応えていくのは困難であろう。ただ、この「長さ」が例外なのかどうかは、今後の動向を見てみなければ分からない。
そう考えると、直近の2020年度2021年度の問題文は、「上智大学社会学科の傾向」としてはあまり参考とならないものであるのかもしれない。なるとすれば、「今後は何が出るか分からない」という「予想」が出来るくらいである。
設問
かつての上智大学社会学科の基本的な設問形式は、問1が要約で問2が意見論述というものであった。要約は200字前後で、意見論述は400~800字という一般的なものであった。が、2020年前後の上智大学社会学科の小論文ではそのような「基本的な小論文の設問形式」は出されなくなる傾向にある。「問題文」が多様化してきたのと同時に、「設問」も多様化してきたのである。
その中でも典型的な「特異さ」をもつ問題は「2020年カトリック推薦」の設問であろう。そこでは「クロス集計表」という図表を作成するための説明文が出され、計算した数値の穴埋めや、推察できる文章や単語の補充問題が出されているのだ。設問はそのようなものが5問あるだけで、数百字の論述・記述といったものは一切求められてはいないのである。
今後の傾向としては、「2020年カトリック推薦」のような設問と、従来の「要約+数百字の論述」という設問の両方が考えられ得る。そのような場合には、どちらにも対応できる「柔軟性」が必要となってくるのであろう。
合格レベル
カトリック推薦制度全般に言えることだが、カトリック高等学校での評定平均という選定があるために、世間一般の入試制度と比べて「難易度はそれほど高くない」という印象である。ただ、上智大学の場合、各学科における募集人員が極端に少ないために年度によっては志願者倍率が高くなることもある。そのために「対策」は、でき得る限り、立てておくべきであろう。
対策
公募制入試と同じく、上智大学社会学科のカトリック推薦と公募制入試と海外就学者入試の過去問を解き、意見や論の方向性や解決策をいくつか考え、まとめておくのが有効であろう。
さらに、他大学の社会学部の入試小論文を解いてみるのも、「初見の問題」に慣れるためには必要である。入試本番で見る問題は、常に新しく感じるものであるのだ。
「過去問を使って考え方と解き方の基本を身につけ、他大学の過去問で新問に慣れる」というのが、上智大学のような学科に特化した小論文が出題される大学の「受験対策」としては、もっとも効率的であろう。