ひとつの言葉のたくさんの意味


今まで多くの「鈴木」さんや「佐藤」さんと知り合いになる機会があったが、頭の中で混乱することはあまりない。同じ名前であっても場面によって、当該の「鈴木」さんや「佐藤」さんを正しく思い浮かべることができる。自分と同じ苗字の「清水」さんに出会っても違和感なく、相手を「清水」さんと呼べるから不思議だ。全く違う人を同じ名前で覚えてしかも完全に切り分けることができる。

アメリカ合衆国といえば世界一の経済力を持ち軍事力も強大な国を思い浮かべる。20世紀後半ほどではなくなっているとしても今でも世界で最も影響力のある国であることに異論はあまりないだろう。しかし、たとえばサッカーの世界でアメリカという名前を聞くとそこまで強力なイメージは持たない。弱くはないけどこの先すぐにワールドカップで優勝できそうなほどでもないという感じだ。一方でブラジル、スペイン、オランダといった国はサッカーのワールドカップではあまり対戦したくない強国だが野球のWBCにおいてはどちらかという対戦相手として「おいしい」イメージになる。「アメリカ」「ブラジル」という固有の名前に対してだけで判断するのではなく、その言葉が使われる状況に応じてその言葉が持つ複数のイメージのうちの一つを取り出して思い浮かべることができる。

同じ言葉に複数の全く異なる意味を持たせることができ、なおかつ文脈によって適切なイメージを取り出すことができるというのはとても柔軟性の高いシステムだと思う。一方で、ひとつひとつの言葉は流動的で曖昧になりそれは言語を学ぶときの難しさの要因になる。あらゆる学びに共通することかもしれないがある言葉の一つの意味を知っていてもその言葉を理解したことにはならない。その言葉に纏わるいろいろな出来事や言語の発展の過程でおそらく何重にも重なった意味が含まれるようになっている。それは他の言葉を使って数行で説明できるようなものではないから辞書を引けば理解できるほど単純でもない。

母語でもそうだが外国語を学ぶときには一層自分の言葉に対する理解の浅さを実感する。しかし、ひとつひとつの言葉の多岐に亘る意味を少しずつ理解して段々「わかる」ようになっていくことにこそ学びの面白さがあると思う。


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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。