サンクコストと引き返す勇気


山登りをしていると時々間違った道に入ってしまうことがある。すぐに気づけばよいがある程度進んだ後に本来の道でないことに気づくと元の場所に戻るのが面倒になり何とか今の道をさらに進むことで目的地にたどり着けないか考えてしまう。ごくまれにそうやってうまくいくこともなくはないが、ほとんどの場合は引き返した方が早いし、より大事なことにはその方が安全である。

車を運転していても左折すべき交差点を間違えたりしたときにそのままその道を進みたくなる衝動に駆られることがある。何とかこの間違いを活かして逆に早く目的地に着く方法はないか、転んでもただでは起きぬぞ、という気持ちになる。しかし、ほとんどの場合は引き返すことが正解で間違えた地点に戻ることが最善の手になる。

間違えた地点にまで戻ることは難しくないし、そこまで戻れば目的地にも確実につけるのに、それを億劫に感じるのは、折角進んだのに、それがすべて無駄になってしまうことに対する精神的な負担が大きいからだろう。

仕事でも途中でミスをしたために進んだと思っていたのに元のところまで戻らなければいけないことはよくある。個人の仕事だけでなく組織で行うビジネスでも時間や資金を費やして進めてきた事業が思ったように伸びず、途中で断念せざるを得ないことがある。これだけ時間と資金を費やしてきたのだから、それを無駄にしたくないと思うのが人情だが、ビジネススクールではこれまで使ってきた時間や資金はサンクコスト(回収不能なコスト)であり、今後事業を継続するかどうかの判断の根拠にすべきではないと教える。

間違いをしたときに大事なのはそれを認めて傷を広げず必要であれば元の位置まですぐに引き返すことだ。そこまでに苦労したことや費やした時間やコストを考えるのではなく、これからのことに考えを集中させる。今自分がどういう位置にいて、目的地にたどり着くまで何ができるか。過去から学ぶことやこれまで蓄積したことを活かしていくことはとても大事だし、場合によっては過去の間違いを背負って進んでいかなければいけないが、今やるべきことを考えるときには、常に新鮮な気持ちで現在と未来に焦点を合わせて、これからできることだけに集中すればいい。


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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。