反復練習と「遊び」


学びの上で反復練習は不可欠だ。反復練習なしに上達することはない。人間が上手に歩けるようになるためには試行錯誤が必要で、赤ん坊がつかまり立ちをしてから、伝い歩きを経て、一人で歩けるようになるまでには数か月かかる。転ばずに上手に歩けるようになるのはさらに先だ。赤ん坊に練習しているという意識はないだろうが同じことを何度も繰り返すことによって初めて歩けるようになる。

学習や技能向上のために反復練習が大事なのは間違いないと思うが、その効果的な方法については意見が分かれる。たとえばバスケットボールのフリースローを上達させるためにひたすら同じところから練習した方がいいという意見もあれば、フリースローのラインからだけでなく少しずれた位置からのスローを各種混ぜることで効果が上がるという意見もある。

ニューヨーク・タイムズの記者ベネディクト・キャリー氏が書いた「脳が認める勉強法」という本では反復練習の際に別のやり方を織り交ぜることで効果が上がるという実験結果を紹介している。たとえばお手玉を的に当てる練習で本番と同じ距離でひたすら練習したグループと本番とは異なる2種類の距離で同じ回数練習したグループだと後者の方が本番の結果がよかったそうだ。同様にバドミントンのサーブの練習でも3種類のサーブを1種類ずつまとめて練習したグループよりも3種類のサーブをランダムで練習したグループの方がトータルの練習回数は同じでも結果がよかったという。

自分のスポーツや勉強の経験を思い出してみても反復練習に少し違う内容のものを織り交ぜると効果が上がる印象がある。ゴルフのパターの練習でも同じ距離ばかり練習するよりも少しずつ違う距離を練習する方が距離に対する力の入れ方を掴みやすい(下手なままなのであまり偉そうなことは言えないが)。数学の問題を解くのでも同じような問題ばかりでなく少し異質な問題を混ぜる方が元の問題の意味を考えやすくなる。つかまり立ちから歩けるように至るまでも同じ動作の繰り返しというよりは少しずつ違う形の様々な動きを試すことが大事になるだろう。両眼で見ると右目と左目の視差によって奥行きを認識し物体を立体的に捉えられるようになるのと同様に、少しずつ異なる感覚を複数身に着けることで理解が深まる感じだろうか。

少し違う動作を入れるといってもどれくらい違う動作を入れればよいのか、ということは明らかではない。たとえば、パターの練習の間にアイアンの練習も入れたり、通常のゴルフボールと重さの違うボールを使ったりするのはどうだろうか。後者は本番のプレイにネガティブな影響を与えることもあり得る。この辺りは研究が網羅されているわけではないし諸説あるだろうが、スポーツでも勉強でも自分で試行錯誤しながら適切な「遊び」を採り入れることによって、単純な反復練習ではない、最も効果的な練習方法を探っていきたい。


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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。