早稲田政経2021年度入試改革の衝撃


5月30日に早稲田大学の看板学部である政治経済学部が2021年度の一般入試の概要を発表した。

– 独自試験は日英両言語の長文問題のみ
– 独自試験の配点は全体の3分の1程度(残りは大学入学共通テストと英語外部検定試験)
– 定員を33%(150名)削減

と自ら「一般入試改革」と銘打っている通り、かなり思い切った変更になっている。これとは別に2021年度入試から早稲田大学全体で一般入試においても出願時に、「主体性」「多様性」「協働性」に関する経験を記入させることも公表した。

私学の雄といっても一大学の入試改革に過ぎず、あまり報道はされていないが、これからの大学受験や中学高校での教育に大きなインパクトを与える内容だ。主要大学の中で2021年の試験内容をここまで具体的に明らかにしたのは初めてで他の私立大学はもちろん国公立大学にも少なからず影響を与えるだろう。

政治経済学部の一般入試は現状、外国語(英語、ドイツ語、フランス語のいずれか)、国語(現代文と古典)、地歴または数学(数学、世界史、日本史のいずれか)の3科目で行われているがこれらがすべて廃止となり、科目毎の試験は大学入学共通テストだけになる。独自の試験は日英両言語による長文の課題文に対して記述式で解答する形式で、どちらかというと現在グローバル入試(AO入試)で課されている論文審査の内容に近くなることが予想される。

「早稲田対策」のようなものの意味はなくなりセンター試験レベルの知識と読む力、書く力といった基礎的かつ本質的な力を確実に身に着けることが重要になる。大学入学共通テストでは必修が外国語、国語、数学の3科目で、選択科目は地歴、公民、数学、理科から選ぶことになる。社会と理科が同列に並んでおり、もはや「理系」「文系」の区分もなくなる。幅広く基礎的な知識を身に着けながら受験に囚われない本質的な力を伸ばすことを促す、バランスの取れた入試になっている。将来的に「主体性」「多様性」「協働性」に関する経験についても入試の評価に含めるようになれば、より一層、健全な準備を促すようになるだろう。

高校の教員からの反対意見もあって文部科学省の方針がトーンダウンした感もあったので、2021年度の大学入試の改革がどこまで進むか半信半疑なところもあったが、早稲田大学の「一般入試改革」は想定を上回るものだった。この動きが他の大学にも広がれば高校生は受験のための特殊な対策を行うことなく本質的に必要な知識や考える力を身に着けていくことに注力できる。早稲田の動きを歓迎しつつ、引き続き他の大学の動きを見守りたい。


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