方程式


小学生の頃、中学受験用の塾に通っていたのだがそこでは方程式を教わらなかった。小学生なので当然だと思うかもしれないが中学受験の算数では方程式を知っていると簡単に解ける問題がたくさんある。数学とは異なり、途中の式が必要ないことも多く、その場合は答さえ合っていれば正解になる。どんな方式で考えてもよいのであれば方程式の解き方を知っていることは大きな武器となる。さらに、これは人によって意見が分かれるところかもしれないが、方程式は中学受験のために習う算数の解き方より簡単に習得できる。

で、今、私が小学生に方程式を学ばせることに賛成か、というと、そうでもない。どちらかというと方程式を学ばせないほうがよいと考えている。その理由は方程式という武器を使わずに問題に取り組むことで他の重要な考え方を身につけることができると思うからだ。つるかめ算は方程式を使えば機械的に解けてしまうが、方程式を使わない場合は、いろいろ考えることになる。たとえば、1回すべての足を亀のものと仮定して足の数を計算し、それだと多すぎるから、1匹ずつ鶴に変えて2本ずつ減らしていく、という考え方は、方程式を使って解くだけでは身につかない。具体的なイメージを持ちながらいろいろな方面から数字をいじってみることで算数の感覚が養われていく。方程式という武器を与えることで数字と遊ぶ機会を奪うのは勿体ない。

算数に限らず子どもが興味をもったものを自分でこねくり回している時間というのは大事だ。大人からみるとばかばかしいように思えることでも子どもにとって大きな学びの場になっている可能性がある。いろいろなやり方を教えてしまうと成長の機会を奪うことになりかねない。

ただ、そうはいってもどこかのタイミングでやり方を教えることで成長のスピードを早めることもあるだろう。算数の問題をたくさん解いて中学生になった後、初めて方程式を教えるというのは悪くないタイミングだと思う。そのときであれば、方程式を使っても解けるけど使わなくても解ける、という状態にできる。

まずは武器なしで訓練して素手で戦えるようにしておくと後に大きく成長するための基盤のようなものを作ることができる。先に武器を与えてしまうとそれに頼って素手で戦う力を身につけることができず成長の余力が小さくなる。一方で、ある程度、素手で戦う力を身につけた後に武器を与えればさらなる成長が見込める。子どもに「やり方」を教えるときは慎重にならなければならない。


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