必要なプロセス


昨日鳩山首相が退陣を表明した。昨年の発足時には80%近くの高い支持率があり、もしかしたら長期政権が可能かもしれないと思っていたのでとても残念だ。安倍首相が2006年9月26日に就任してから、まだ4年も経っていないが、もうすぐ5人目の首相が誕生する。毎回毎回1年もたずに首相が辞めるようでは、国の政策が一貫しないし、諸外国の信頼も失う。1年たったら辞めてしまうと思えば他の国の元首も時間をかけて信頼関係を築こうという気にはなかなかなれないだろう。

もちろん、鳩山首相にもっと他のやり方があったのではという思いもあるが、昨年、民主党を圧倒的な得票差で選んだ国民にも反省すべき点は多いのではないか?1年足らずの間の支持率の急激な低下はもともと国民の期待値が高過ぎたことにも原因がある。政治家がこれをやるといったことを根拠もなく信頼しすぎてしまったのではないだろうか?やるといったことをやらない政治家はよくないが、選ぶ側も「だってやるって言ってたじゃん」と言っているだけではあまり進歩がない。マニフェストや公約を評価するときは実現を前提とするのではなく実現可能性まで含めて評価したい。

今回の件でよかったのは、選挙で勝つために実現できそうにないことをマニフェストに書いたり、選挙中に口約束したりしても、結局、実現できずに支持率が下がり、最終的には辞任に追い込まれるという認識が新たになったことだと思う。投票する側も政治家が調子のいいことを言っていても無理なものは無理なんだということをあらためて認識した人が少なくないのではないか。マニフェストや公約は決めたものを実現することも大事だが、もっと大事なのはそもそも実現可能なものを提示することだ。政権を取った後、事情が大きく代わったのであれば、マニフェストや公約にとらわれ過ぎない柔軟な対応が求められることもあると思うが、選挙前にはできると思っていたけどよくよく調べてみたら実現できないことがわかりました、というのではプロの政治家として許されない。今後、マニフェストや公約がより現実に即したものになり、投票する側もその実現性を判断した上で、政治家を選ぶことができるような方向に進むのであれば、今回は残念な結果に終わったものの、正しい方向に進むために必要なプロセスだったということでまだ救いようがある。


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