仕事の報酬は仕事
「仕事の報酬は仕事」。ソニー創業者の井深大氏が言っていたと聞いたことがあるが誰が言い始めたのかはわからない。私にはとてもしっくりくる言葉である。経済学者のケインズは生産性が高まれば週に15時間くらい働けば済むようになると言っていたらしいがそうはならないと思う。なぜなら仕事は「楽しい」からだ。
生活に必要な資金を稼ぐ必要がある場合は、仕事の報酬は金でもある。生活するために資金が必要であり、資金を稼ぐために働くのだ。しかし、生活のための必要最低限の収入さえあれば、あとは仕事の報酬は仕事になるのではないか。特に、多くの分野で最も活躍している人を見るとそれを強く感じる。その分野で最も「いい」仕事をしている人は最も稼いでいることが多い。だから仕事の報酬が金であるように見えることもある。しかし、すでに年間多額の金を稼いでいる人がさらに金が欲しくて働くだろうか。中にはそういう人もいるだろうがより大きなモチベーションはよりよい仕事をしたいということからくるのではないだろうか。
金があれば多くのものが買える。広くて快適な家も買えるし、高級車も買うことができる。しかし、こういったものはその人の価値観にもよると思うが、がむしゃらに働く価値があるほど本質的な違いにはならないように思う。金持ちになったからと言ってベートーベン以上に偉大な作曲家の音楽が聴けるわけでもない。エビスビールよりうまいビールが飲めるわけでもない。本や映画についても世の中で最も優れたものでさえ安価で手に入る。そういったことを考えると資産があること自体にはあまり魅力を感じない。
一方で、プロのスポーツ選手でも、経営者でも、一定以上の資産を形成している人は、その分野で最もレベルが高くやりがいのある仕事をしてきた人が多い。結局、魅力的に感じるのは、そういった場で勝負し、活躍し、社会に貢献する楽しさである。そしてそれは金で買えるようなものではない。もしかしたら大金を払って選手としてサッカーのワールドカップのピッチに立ったり、ゴルフのマスターズにエントリーすることはできるかもしれない。また、どこかの企業の社長にさせてもらえるかもしれない。しかし、実力不足なままそういった場に立っても惨めな思いをするだけで、本当にそれを楽しむには、少しずつ努力を積み上げて、活躍するため能力を身につけておくことがどうしても必要になる。
結局はこつこつと仕事をしてよりよい仕事をするための素地を作っていくしかない。そしてよりよい仕事をすることより楽しそうなことは少なくとも今の私には見つからない。その意味で「仕事の報酬は仕事」なのである。
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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。