「遊び」の時間


2011年もあっという間に過ぎてもう明日は2012年になる。毎年、年の瀬が迫ると来年はどのような年にしようかなと考え始める。2012年の366日×24時間をどう使うかを考えるのはなかなか楽しい。

来年の時間の使い方を考える上で一番迷っているのが「遊び」的な時間の扱いだ。仕事に直接関係なく本を読んだり、映画を観たり、スポーツ観戦をしたり、講演を聞いたりする時間。マンガを読んだり、ネットサーフィンをしたり、囲碁の勉強をしたりする時間。こういった時間は仕事で疲れた頭をリラックスさせる効果がある上に仕事に役立つ新しいアイディアを見つけさせてくれることもある。今までは意識してこういう「遊び」的な時間をつくってきた。

今年MITメディアラボの研究所長に就任したJoiこと伊藤譲一氏がserendipityの大事さについてよく述べている。研究社の新英和中辞典によれば、serendipityとは「思わぬものを偶然に発見する才能[能力]」のこと。聖路加国際病院の日野原重明氏による「幸福な偶然(セレンディピティ)をつかまえる」という本もある。serendipityを発揮するためにも「偶然」をつくるために仕事以外の「遊び」的な時間が大事なように思える。たまには仕事に関係のない本を読んだりあまり知っている人のいない会合に出たり知らない土地に行ってみたりそういったことが必要なのではないかと思ってしまう。

しかし、serendipityの重要さに疑いはないとしても、それを発揮するための「遊び」の時間の必要性には疑問が残る。今まで多くの科学上の発見や企業のヒット商品の発明は、失敗や勘違いから生まれた。ペニシリンは、細菌の研究のための実験をする中で意図せずに発生したアオカビが元になって発見された。3M社のポストイットは強力な接着剤を開発しようとしてうまくいかずにできた弱い接着剤から生まれた。いずれもまさに研究者がserendipityを発揮したわけだが、あくまで仕事の中で行われておりアイディアを求めて「遊び」の時間をつくってそこから生まれたというわけではない。自分がそのときそのときで一番やるべきと思ったことに集中する。そうすることによって初めてserendipityを発揮できるのかもしれない。

「遊び」的な時間は、教養を身につけるためにも必要だ。教養が重要だと考える経営者は多い。しかし、幅広い教養と自分の仕事に対する専門的なより深い理解のどちらがビジネスのために重要かと言われると後者だと思う。

前に冗長性というテーマでも記事を書いたが今まで「遊び」の部分が大事だと思っていただけになかなか判断が難しい。来年「遊び」の時間をどうするかは、まだ1日あるのでもう少し考えてみることにしよう。

皆様よいお年をお迎えください!


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