学習や教育を取り巻く環境の変化 2017


2020年度の大学入試改革が近づくにつれ、少しずつその形が見えてきた。5月にはセンター試験に代わって導入予定の「大学入学共通テスト」の例題が公表され、英語については民間の4技能試験の活用が決まった。国立大学協会は少なくとも2023年度までは従来のマーク式と民間の4技能試験の両方を課す方針を打ち出した。11月には「大学入学共通テスト」の試行調査が行われ、約19万人の生徒が参加して実際に試験を受けて、その問題及び結果は今月公開された。民間の英語資格試験の活用、国語・数学の記述式問題の採用、ともに批判の声は少なくないし、当初の理想からだいぶ離れたところに着地しそうな感じだが、3年後の実施に向けて落としどころが見えてきた。

入試改革を見据えた動きも目立った。大学では、ここ数年安定していた18歳人口が2018年から再び下降し始めるという「2018年問題」に対する危機感も強い。AO推薦、一般に関わらず英語4技能の資格試験を合否判定のために採り入れる入試がすでに増えつつある。一見、今まで以上に英語が重要視されつつあるように見えるが、一定以上の資格をもっていれば差がつかないようにするような入試もあり、むしろ英語が得意な人には不利な試験も増えている。2020年度の入試改革は小学生にまで影響を及ぼしている。今年1月、2月に行われた中学入試では1都5県の95の中学校が英語を試験科目に取り入れたという。また従来の学科試験とは異なる、思考力を評価するような入試を実施する学校も前年より4割程度増えたそうだ。

今年は3月に文部科学省から新学習指導要領も公示された。2020年度までに「外国語活動」の開始が小学5年から小学3年に引き下げられ、小学5年からは英語が教科になる。これに伴い、小学生に英語を習わせようとする親がますます増えている。学童保育を利用する人が増え、また学童施設で英語を学ぶという子どもも増えている。学童保育については私立小学校が自校に開設する動きも広がりつつある。新学習指導要領では2020年度からプログラミング教育も必修化されることが盛り込まれた。プログラミングについても塾大手による小学生向けの教室の開校が相次いでいる。STEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)教育、STEMにArtを加えたSTEAM教育を提供する機関も増えている。新学習指導要領とは直接関係ないが、河合楽器と学研が組んでピアノと国語算数の両方を学べる教室を大幅に増やす計画を発表したり、カルチュア・コンビニエンス・クラブが小学生を中心に技術や芸術も含めた教育サービスに進出するという話もあった。

一方で少子高齢化の傾向に合わせてヤマハ音楽教室のように今まで主に子どもを対象としていた講座を大人やシニア層向けに展開するところも出ている。社会人向けの自習室も活況とのことで、学びに対する関心が大人の間でも広がっているのかもしれない。

テクノロジーを活用した教育も引き続き広がりつつある。2020年には世界で30兆円市場になるといわれる「エドテック」だが、その中で、アジア太平洋の比率は50%を超えることが見込まれている。特にフィリピン、ベトナム、インドネシアなど東南アジアで広がりをみせているようだ。MOOC(大規模公開オンライン講座)も順調に伸びている。2016年は世界で5800万人の人が受講したとの報道が今年の初めにあった。国内でも通信教育や塾でタブレットを使うところが増えている。学習の効果向上に加えて、講師不足を補う狙いもあるようだ。塾によっては講師の代役をタブレットが務める。英語の学習には人工知能(AI)を使ってスピーキングを練習できるようなデバイスが開発されて大学でも使われている。AIについては学習情報から教師に助言するような実験も始まっている。

洋々では引き続き個別指導を中心とした学びの場を提供していく。書類作成や面接の準備、小論文対策のためのサポートを主に行ってきた洋々にとって、思考力・判断力・表現力を評価する2020年度大学入試改革や生きる力の養成を目指す新学習指導要領の実施によって、価値を提供できる機会は増える。テクノロジーも積極的に活用しながらサービスの質をさらに高めていきたい。


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