安定と緊張のバランス


競馬では実績のある騎手が強い馬を任せられることが多い。そうすると実績のある騎手は勝てる可能性が高まり、ますます実績を積み重ねやすくなる。一定の地位を築くと安定して勝ちやすい仕組みになっている(もちろん地位をキープするためには不断の努力が必要でプレッシャーも大きいであろうことは想像に難くない)。一方で実績のない騎手が大きなレースで勝つのは簡単ではない。強い馬に騎乗させてもらえる機会はそうそうない。少ないチャンスをものにしてのし上がっていくしかない。

囲碁や将棋のタイトル戦は順位戦や予選を勝ち進まないと挑戦権を得られないし、そもそもその予選に参加するためには相当の難関を乗り越えなければいけない。一方で一度タイトルを獲得するとタイトル保持者として翌年は予選を経ずしてタイトル戦に出場できる。将棋の羽生善治九段は1992年から2010年まで王座戦で19連覇というものすごい記録を持っているが前年のタイトル獲得者が翌年も予選から始めるシステムだったら結果は違っていたかもしれない(結果が多少違っていたとしてもその時代の羽生さんの圧倒的な実力と実績に疑問を挟む余地はないのだけど)。

一方で大相撲のように地位が高いほど強い相手に当たるようなシステムもある。横綱は基本的に自分を除く角界の最も強い力士15人と15日間戦うことになる。朝青龍や白鵬のように7場所連続で優勝したような横綱も過去にはいるが前の場所で優勝したことが有利に働くわけではなく、毎回ゼロから始める上に強い力士と当たるので横綱であっても二場所連続で優勝することは簡単ではない。

政治や企業のリーダーがその地位を維持し続けられるかどうかはそのリーダーを選ぶ仕組みによるところが大きい。現職が有利な仕組みがあったり、現職に強い権限があってルール自体を変更できたりする場合には、長期的にその地位を維持できる。一方で、現職であることが有利に働かない場合は常に真向勝負となり、その地位を維持するのは簡単でなくなる。基本的には最も実力のある人が組織のリーダーであることが望ましいが、一方で、頻繁にリーダーの変更があると安定感に欠く。仕事に集中するために必要な安定の仕組みは維持しつつ、交代のプレッシャーを常に感じるような緊張感を持たせられるといい。


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