拾う神


市場経済に活力があるのは参加者1人1人にそれぞれの考え方があり、ある商品やサービスを高いと思う人もいれば安いと思う人もいるからだ。猛暑や長雨などの気候の影響でレタスの流通量が減ると需要に供給が追い付かず値上がりする。1玉150円だったのが300円になると今日は見送るという人が増えるが、その価格でも買いたいという人もいて適当な個数の売上に落ち着く。一方で消費期限の迫った肉や魚は早く売り切るように値下げを実施する。同じ値段であれば消費期限まで余裕のある方を選ぶ人が多いだろうが値下げ幅によっては今日が消費期限の商品を買う人も出てくる。

スーパーで売っている野菜や肉に比べるとだいぶ高額になるが、家や土地の売買でも売りたい人も買いたい人も複数いてそれぞれの思惑によって価格が調整され、いい按配のところで落ち着く。どんなに辺鄙なところで買い手が少ない場所であっても十分に値段が下がれば買う人が出てくるものだ。

株式市場でも同じだ。皆が有望だと考える企業の株式だと価格は高くなるがどこかで均衡する。逆に先行き不透明で人気のない株式であっても価格が下がれば買い支える人が出てくる。先週19日にカルロス・ゴーン会長が逮捕された日産自動車の株式はその翌日に5%以上下げたが、それ以降はそこまで大きく下がることはなく、今のところその水準で保っている。ゴーン逮捕で今後の日産が危ないと思う人もいれば、ゴーン氏の逮捕が日産の経営に与える影響は限定的だと考える人もいるからだ。捨てる神がいれば拾う神もいて初めて市場経済は成り立つ。

商品、土地、株式だけでなく、人材についても市場の原理は働く。誰が見ても優秀な人材であれば雇いたいという企業が多く出てくるので報酬は高いところに落ち着く。逆にそのよさがわかりにくい人物であればなかなか就職できない可能性はあるが、その人のいいところを見抜いた企業は雇用するだろう。プロ野球のオフシーズンに自由契約になった選手が他の球団に雇われるのを見るとまさに捨てる神あれば拾う神ありの世界を実感する。

どんなによく見えるものでもそこまで価格が上がらなかったり、多くの人にとって魅力のないものでもそこまで下がらなかったりするのは、人によって価値観が異なる中で見送る人がいたり、買い支える人がいたりするからだ。多くの人が見送るような状況で「買い」に出るのは他の人には見えない価値を認めているからでお買い得である可能性も高い。皆が捨てるときに拾う神でありたいと思う。


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