2020年度以降の国立大学の入試制度


先週金曜日に行われた国立大学協会の総会で2020年度以降の国立大学の入試制度について基本方針が示された。その資料が国立大学協会のウェブサイトで公開されている。

平成32年度以降の国立大学の入者選抜制度 -国立大学協会の基本方針-

「平成32年度以降の国立大学の入者選抜制度 -国立大学協会の基本方針-」の策定に当たって(会長談話)

京都大学総長でもある山極壽一会長の談話によれば2020年度から実施予定の大学入学共通テストについて特に英語の認定試験の活用と国語・数学の記述式問題において未解決の課題が数多く残っているものの、実施の日程が近づく中で各大学や受験生の準備のために基本方針を早急に示す必要があり、今回の決定に至ったという。

今回決まった基本方針の中で最も目を引くのは英語4技能評価の扱いだろう。先月から一部のマスコミで報道があったように2023年度までは従来のマーク式の試験と民間の認定試験の両方を一般入試の全受験生に課すという。十分な検証が必要というのは理解できるが、受験生の負担も大きいし、4年間に亘ってすべての受験生に両方受けさせるというのは少し保守的に過ぎるように思う。

基本方針の中では、2020年度の新テスト導入後も原則5教科7科目を課し、国語・数学については全受験生に記述問題を課すことを明らかにしている。また、少なくとも2024年度入試までは前期・後期の枠組みを変えないとしている。5教科7科目を課すことで受験生に幅広い学びを求めることはとてもよいことだとは思うが、英語も含めて、すべての大学が横並びになる必要はなく、各大学がアドミッション・ポリシーに基づいて決める形の方が望ましい。各大学の個別の試験では「高度な記述式試験」を実施するようにするということだが今までも2次試験ではレベルの高い記述式試験が課されており、2020年度以降どこまで変わるかは疑問だ。

とはいえ、国立大学のAO入試・推薦入試(今後の統合型選抜・学校推薦型選抜)について、2021年度までに入学者数ベースで30%(現状16%)にするという目標のもと、多様な入試の取組みを「加速・拡大」するとのことなので、従来型の一般入試はむしろそのような形である程度制限しておく方が混乱を避けられるというメリットはある。

報道等でも大きく取り上げられている2020年度入試はそこまで大きな分岐点にはならないかもしれないが、中央教育審議会の目論んでいた方向とは異なるにしても、大学側の努力によって変革が少しずつ前進している感はある。