その場で30分で志望理由を書く
早稲田大学国際教養学部(SILS)の今年のAO入試(国内選考)では、志望理由書を事前に提出するのではなく、「志望理由に関するエッセイ」を当日試験会場において30分で書くことになっている。「中学卒業以降のご自身の体験、経験、取組内容を踏まえ、当日問題内で提示される主題と関連付けて、国際教養学部を志望する理由を論理的に記述する」とある。今年初めての試みということもありサンプル問題も公開されている。19世紀のイギリスの哲学者J.S.ミルが大学では「専門職の知識」よりも「一般教養」を学ぶべき、としている講演を引用し、それに対する自分の意見を書かせた上で、これまでの経験と大学での学びについて説明させる、という内容になっている。シンプルに志望理由を書くことを想定していた受験生は戸惑うかもしれないが、SILSを目指すからにはなぜリベラルアーツ教育なのか、ということを考えておくことは必須であり、決して奇をてらった問題ではなく、むしろ、SILSで学ぶ準備ができているのか、という本質を突く問いになっている。
事前提出の「志望理由書」がある場合は、その完成に全力を注ぐことになる。自分のこれまでやってきたことを振り返り、そこから自分の将来を思い描き、大学で学ぶべきこと・追求すべきことを考え、それを1000字なり2000字なりにまとめていく。そのプロセスには3ヶ月から半年くらいかかるがその本質は文章の完成ではなく、自分の考えをまとめることにある。もちろん書類で提出するので一旦その時点でのベストな形で完成させるしそれはそれで大事なことではあるがそれが自分のすべてにはならない。書類に書いたことの周辺にあることもしっかり考えられているような状態になっていないと面接での受け答えは覚束ない。
生成AIの影響でSILSのような形式のような入試が増えるかもしれない。ただ、準備すべきことは変わらない。むしろ、事前にかっちり形にする従来の出願書類よりも当日問われたことに対して柔軟に対応する方がより網羅的で、かつ、本質的な準備を必要とする。自分のこれまでのこと、これからのことを整理して、かつ、その大学学部のことをよく理解して、なぜ今その大学学部を受験しようとしているのか、が明確になっていれば、それが出願書類の形でも当日の筆記試験でも面接であっても同様に正しく評価してもらえるはずだ。
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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。