Wikipedia
ネットで調べものをするときにかなりの確率で頼ることになるのがWikipediaだ。Wikipedia自体で調べてみると4月26日時点で、299言語に亘る47,876,804の記事があるとのこと。2001年1月に始まった(これもWikipediaで確認した)ので20年足らずでここまで来たということだ。すばらしい成果だと思う。
誰もが自由に編集できるWikipediaの成功は自明ではない。初期の頃にWikipediaのようなプロジェクトはうまくいかないと思っていた人は少なくないだろう。今でも懐疑的な見方をする人はいるだろうしこれから破綻する可能性だってある。素人がいい加減に書いた記事でいっぱいになるのではないか?誤った、あるいは、偏った見方をしている人がしつこくページを書き直すことがあるのでないか?より思慮深く公平な見方をしている人がそういった人の執念に負けて諦めてしまうのではないか?そういったことは十分あり得るが今のところ悪くないところで平衡状態になっているように見える。4700万を超える記事があれば誤りや偏りは少なからず存在しているだろうから記事の内容をいつも信頼できるわけではない。しかし、いろいろな見方が重なっていろいろな感情がぶつかりつつもいいところで落ち着いていることが多く、実用に足る信頼性を確保できている。
誰でも自由に編集に参加できるようにする、変更履歴はアカウントやIPアドレスのログとともにすべて残す、中立性を保つために企業のスポンサーはつけない、状況によっては投稿のブロックを可能にする、などの基本設計が優れていたことももちろん成功の要因だと思うが、集団としての人間の性質がプラスに作用したというところも大きい。これほどの規模の共同作業は例がなく、現在進行形の社会実験のような感じになっているが、経済的な見返りがなくても、正しいことを追求したり、全体に対して貢献したりしたい、という人が集団としていい方向に進むために十分な割合でいたということだろうか。
民主主義の政治と同じように1人の行動が全体へ与える影響は微少だが、集合体としてその特徴が表れる。一党独裁国家の中国の成長が目覚ましく、民主主義国家の代表格米国の国内社会の分断が広がる中、民主主義の未来が安泰でないのと同様、Wikipediaもこれからどうなるかわからない。私自身は編集という面でも金銭的な面でもWikipediaに貢献しているわけではないのであまり偉そうなことは言えないが、民主主義を守りたいというのと似たような気持ちで、Wikipediaには今後も信頼できるサイトとして存在し続けてほしいと願う。
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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。