ライブ


予備校・塾業界では映像授業の普及が進んでいる。コストを考えると必然の流れなのかもしれない。映像であれば、どんなに多くの人が見てもコストはあまり変わらず、たとえば何十万人もの生徒がそれを見れば、生徒1人あたりの負担コストを大幅に下げることができる。しかも、生徒は最も定評のある講師の授業を受けることができる。洋々でも積極的にネットで動画講義を視聴できる仕組みを積極的に採り入れてきた。新しい生徒が来るたびに講師が同じことを話すのは無駄な気がするし、映像にしておけば生徒が必要なときに必要なところだけ見られるというメリットもある。しかし、どんなに優れた講師による授業でも「聴きっ放し」「見っ放し」だと何となく理解はできても実際に知識を使いこなせるようになるところまではなかなかいかない。使いこなすためには自分でしっかりアウトプットを出す練習をすることが必要だ。さらに自分のアウトプットに対してフィードバックを受けるプロセスがあると学習のスピードが速まる。そういった意味では、知識を身につける映像授業と個別にフィードバックを受ける個別指導を組み合わせるやり方が効果的な学習の形の1つの解だと考えている。

とはいってもライブでの集団授業の可能性を捨てているわけではない。まずはアクティブラーニングと呼ばれるようなディスカッションやプレゼンテーション等、生徒同士、生徒講師間でのコミュニケーションが主要な部分となるような授業がある。これは洋々でも採り入れていて、オンライン学習の普及が進んでもなくならないどころか、今後ますます必要になってくるところだと思う。しかし、ここで考えたいのは、そういった新しい形での授業ではなく、旧来の、生徒からの質問を受け付けない、講師が話すだけの集団授業のライブの可能性だ。塾予備校の動きを見ていても、映像授業が普及するにつれて、そういった授業は淘汰されていっているように見えるし、私自身も集団授業は数少ない優秀な講師による授業に今後は集約されていくのではないかと考えてきた。今でも基本的にはその考え方は変わらないのだが、一方でライブであることの重要性が軽視されすぎているようにも感じる。

超一流の演奏者のCDを聴くより、名が知られていない演奏者でも生演奏を聴く方が心に響く。スポーツでもプロの試合をテレビで見るより、アマチュアの試合でも競技場で観戦した方が迫力を感じる。授業においても、一流の講師の映像授業よりもそこそこの講師のライブ授業の方が知識を吸収しやすい可能性はある。

ライブのよさの1つは送り手側(演奏者、選手、講師、等)が発するものを五感で感じられることだ。五感で感じることによって感動もするし、吸収もできる。今の技術ではオンラインでその場にいるような感じにさせることは難しい。しかし、ライブであることのより重要なメリットは送り手側と受け手側(聴衆、観衆、生徒、等)の双方向性にある。授業で「双方向」というと生徒が質問して講師が答えたり、生徒同士で意見を言ったりすることを思い浮かべる。しかし、そういった明示的なコミュニケーションがなくても双方向になり得る。生徒の表情によって講師の話し方が変わり、それによってさらに生徒の表情が変わる。そういったインタラクションが作る雰囲気や場の影響は些細なことのようで意外と大事だ。気持ちの入り方によって学習の効果は大きく変わる。

現時点では洋々で旧来の集団授業を大々的に行っていくつもりはないが映像授業の普及がさらに進んで皆が映像授業に飽きてきたら五感で感じるライブ授業を行うのも面白いかなと考えている。


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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。