見えないところへのこだわり


米アップル社創業者のスティーブ・ジョブズは製品のデザインの美しさへのこだわりで有名だがそれは消費者が見える部分に留まらない。優れた工芸品は見えないところもすべて美しく仕上がっているものだという父親の教えから、彼はアップルの製品の見えない部分にまでこだわった。ユーザーが目にすることのない、マッキントッシュ内部の電子基板の部品の配置でさえ、美しさを基準に評価したという。

仕事は社会、あるいは、自分以外の人に何らかの価値を提供するものだが、それを通して、自分自身を満足させるものでもある。医師が患者を治療するとき、患者は病気が治ったことを喜び、それを見た医師は満足感を覚える。建築家は自分の設計した建物が有意義に使われているのを見れば充足を感じる。コメディアンは観衆が楽しそうに笑うのを見て自分も満たされるだろう。

仕事の価値は基本的に他者にとってどれだけの価値があったかということで決まるが仕事をする側の満足感はそれだけでは決まらない。仕事を提供する側の価値観と仕事を受ける側の価値観が異なる場合、誰も喜んでくれなくても自分の仕事に満足するというケースも有り得る。誰にも価値のないことをして満足を感じても、もしかしたら仕事とは言えないかもしれないが、しかし、自己満足は仕事をするモチベーションにつながる。社会のため、他の人のためと思って仕事をするよりも、自分の納得のいく仕事を目指して、サービスや商品の質を高めていく方が、結果的に他の人にとってより価値の高いものを提供することにつながるのではないか。

自分の納得のいく仕事、という意味では使う人に見えないところまでこだわることも必要になる。他の人に見えていなくても自分には見える。ジョブズの言葉を借りれば、手を抜いたところがあれば、心安らかに眠ることができない。使う人に見えない細部にまでこだわって仕事をすることは自信にもつながる。いくら顧客にわからないからと言って、見えない部分で安くて低品質の材料を使うと自信をもって提供することができない。

価値ある仕事、という意味では、商品を使ったりサービスを受けたりする人のことを考えて提供する必要があるが、自分の仕事に対するモチベーション、満足度、自信という観点では、他人にとっての価値だけでなく、自分自身の価値観に従ってこだわりのある仕事をしていくことが重要になる。他の人の目はだませても自分自身はだませない。


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