プライド


今回の大震災について海外メディアで日本、特に日本人を称賛する記事が目立つ。

大地震が起きた際は小学生からビジネスマンまで、慌てず訓練通り淡々と避難する。こんなに被害を受けて物資が不足していても皆落ち着いていて暴動や略奪もない。福島の原子力発電所で自らの危険を顧みず何とか被害を食い止めようとする人々、今、自分が東京から出ていったら誰が日本経済の回復を担うんだと言って東京で頑張る人々がいる。日本以外の国で同様の災害が起きたらこんなものでは済まない。このJapanese Spiritとでもいうべきものは一体どこから来るのか。

こういった論調の海外メディアの記事を複数読んだ。もちろんすべての日本人が素晴らしいJapanese Spiritを持っているわけではなく、震災直後に一時的に無人になったコンビニで盗難があったという話も聞いた。募金活動をしている高校生を暴行し、現金を奪うという事件もあった。このような話は残念ではあるがそれほど意外でもない。日本に犯罪がないわけではないし、倫理感に乏しい日本人も少なからず存在する。だから必要以上に日本人を美化するつもりはない。しかし、日本人は総じて協力意識、使命感が高い人が多いように思う。

もしそれが本当だとすれば、どうして日本人は協力意識、使命感が強いのか?島国で同族意識が強いから、小学校での道徳教育がよいから、果ては、日本人のDNAに刷り込まれているから、までいろいろな説がある。しかし、こうあってほしいという私自身の希望も入っているかもしれないが、私は、日本人であることの誇りが協力を促し、使命感につながっているのではないかと(期待半分で)思う。日本人の多くは宗教による行動規範をもっているわけではない。神様が見ているから善いことをするというよりも自分に誇りがあるから善いことをする。略奪が起きないのは、神様が見ているからではないし、法律で罰せられるからでもない。自分の誇りが許さないからしないのだ。もちろん日本以外の国においても自分の国に誇りを持っている人はたくさんいる。しかし、その広がりにおいて日本を超える国は少ないのではないか。

誇りには国民としてのものだけでなく、地域に属する誇り、会社や学校に属する誇り、そして、家族に属する誇り、等、いろいろなレベルのものがある。いずれの誇りも高潔な行動をする、というモチベーションにつながる。より多くの人が自分あるいは自分の属する何らかの集団に誇りをもつということは社会の安定にもつながっていると思う。ただ、気をつけたいのは、余裕がない状態で、無理に自分(たち)に対する誇りを持とうとすると敵味方をはっきり分けて排他的になりがちであるということだ。排他的でなく、自分の属する組織以外の人に対しても思いやりをもてるようになってはじめて、自分に対して本当に誇りをもてるようになるのではないか。海外のメディアが困難な中での日本人の高潔さを称賛するたびに涙が出そうになるが、より多くの人が自分たちに誇りを持ち、かつ、自分以外の人や自分の属する組織以外の人に思いやりをもつ余裕が出たら、今以上にその国民であることを誇りに思えるようになると思う。そんな社会の実現に貢献したい。


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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。