傍目八目


将棋や囲碁のプロの対局をテレビで見ながら次の1手を予想するとたまに当たることがある。結果だけみるとプロの打った手と自分の考えた最善手が一致している。しかし、その意味するところは大きく違うだろう。仮にプロの棋士と話す機会があって「あそこは6八銀ですよね」と言って意見が一致したように見えても、おそらくそこに至る思考のプロセスは全く異なる。次元が違うと言ってもいい。

傍目八目という言葉もあるが、あくまで同レベルの第三者が外から見たときに局面がよりよく見えていい手を思いつくことがあるということで、素人がプロ同士の対戦を外から見ていても対戦している当人たち以上に深く局面を理解することはできないだろう。たまたまよい手を選ぶことができてもそれは偶然に過ぎず、より深く局面を理解した結果ではないだろう。

将棋、囲碁に限らず、スポーツでも他のどのような仕事であっても、テレビなどの媒体を通してみるとなぜかプロのすることや判断に対して、ついつい、口を挟みたくなってしまう。外から見ると意外と簡単に見えて何でこうしないの、と勝手に考えてしまったりもする。しかしプロに見えていることは素人に見えることとは全然違うかもしれない。言動や結果からだけではその人がどういう思考のプロセスでそこに到達したのかはわからない。

そういったことを考えると、もしかしたら先日の内閣不信任案を巡る国会議員の動きも外からそう見えるよりももっと複雑な思考プロセスを経た結果なのかもしれないとも思う。鳩山前首相もプロの政治家として諸般の事情を勘案して出した結論があの行動・言動だったのかもしれない。しかし、こと政治については、傍目八目が有効な気がしてならない。一部の政治家たちが今夢中になっているゲームから一歩離れて全体を見たら彼ら自身にとっても国にとってもよりよい行動を取れるのではないかと思ってしまう。

念のため付け加えておくと、プロのすることに対して、素人があれこれ意見をいうのは、的外れなことが多いとしても、別に悪いことではないと思う。もともとテレビを通したスポーツなどのエンターテインメントはお菓子を食べたり、ビールを飲んだりしながら皆が批評家になって好き勝手を言うことで成り立っている部分もあると思う。政治は娯楽ではないが、政治家の言動や行動について、仮にそれが素人には想像もつかない思考プロセスに基づいているにしても、皆が多いに議論するのはむしろ望ましいことだろう。根拠なく特定の人を悪者視するのではなく、公平に自分自身で考えた意見を交わす、という場が増えると少しずつ日本の政治もよくなっていくかもしれない。


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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。