権力者と弱者の力のバランス


権力に対し、それに屈せず、正しい批判を堂々と行う。時代、国によっては、非常に難しいことで、自分の命を賭する必要があることも珍しくない。日本も含めた多くの国の歴史を考えると時の権力に対し自由に批判ができる状態というのは大変貴重で有り難く思うべきことかもしれない。だから、マスコミが首相をはじめとする閣僚を必死になって批判するのもわからなくもない。それが彼らの使命であり、権力が間違った方向に行き過ぎないように命を賭してでも批判する必要があるのだ。しかし、今の日本では、マスコミの力の方が強くなりつつある。権力側が圧倒的な強さをもっているときは全力で批判してもよいが、今では、全力で批判すると権力側が倒れてしまいかねない。今の日本で首相を批判するのに勇気はいらない。むしろマスコミに背を向けて、首相に賛同する方が勇気を必要とするのではないか?

以前は学校の教師は力を持っていて歯向かう人は少なかった。教師が生徒に体罰を与えることに対して文句を言う人もまずいなかった。しかし、今では、体罰はよくないという認識が広まり、生徒に体罰を与えた教師が戒告や懲戒処分を受けることもよくある。教師に物申す生徒やその親が増え、そういったことが特別なことではなくなってきた。以前とは、立場が入れ変わり、まるで生徒やその親が学校のお客様であるかのように見えることがある。

職場における上司と部下の関係もだいぶ変わってきたように思う。パワハラという概念が広まり、上司は部下への接し方に気を使うようになり、部下も上司に対し恐れずにモノを言えるようになってきたのではないか。立場が逆転とまでは、さすがにいかないとは思うが、高圧的な上司の数は減ったのではないだろうか。

強大な権力から弱い立場の人を守る、ということは簡単なことではない。それは現在の多くの国における少数民族に対する処遇を見ていても感じることだ。弱い立場にいる人が、自分の権利を確立するために行う戦いは大きな勇気を必要とし、その戦いに加わることは称賛に値する。しかし、一度、弱者が権利を確立し、その勢いで権力者を追い詰め過ぎると、今度は権力者がその能力を十分に発揮できなくなり、それはそれで弊害を生む。権力を持っている人にはその能力を十分に発揮してもらいながら、弱者の権利をしっかり守る、というそのバランスがなかなか難しい。


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